炉縁とは ~ 茶道の知識
炉縁とは ~ 茶道の知識
炉の切られた茶室では、畳と炉の間に必ず木の枠をはめます。これを炉縁(ろふち)といいます。
炉縁は、火気が畳に伝わるのを防ぐために用いられるだけでなく、炉周りの装飾としての役割もあります。
炉の枠である炉縁という脇役的な茶道具にも、場を引き立たせ、客人をもてなすという細やかな心配りを感じることができます。
炉縁の種類 ~ 茶道の知識
炉縁には、主に「木地縁」と「塗縁」があり、4畳半以下の小間には木地、4畳半以上の広間には塗りものを使うのが原則とされています。 炉縁の大きさは、炉に準じて、通常は1尺4寸(約42.4㎝)四方、高さが2寸2分(約6.7㎝)四方となっていますが、好みにより違いがあります。
大炉では、1尺8寸(約54.5㎝)四方で、高さは通常の炉縁の高さと変わりません。
木地…主に丸太や洒落木が使われ、沢栗や鉄刀木、桜、梅、縞柿、杉、松のほか、由緒ある社寺の古材などで作られています。
千利休の時代には、木地縁は使うたびに洗ったので「洗い縁」とも呼ばれ、主に水にも強い沢栗が用いられました。
塗り…塗縁は炉縁に漆を塗ったもので、無地と蒔絵に分かれます。塗縁は一般的に広間で使用し、桧下地の真塗を正式としますが、一閑、摺漆、溜、朱塗など様々な漆加工が使用され、蒔絵や置上などの意匠を施したものも作られています。
洗うことを前提としてつくられた木地の炉縁は、丈夫な素材とつくりになっていますが、塗縁の炉縁は木地よりも扱いが難しく、紫外線や乾燥によって劣化が進みますので、保管には注意が必要です。
蒔絵や花押のある炉縁は、その部分を素手で触れないように注意して扱い、触れた部分は、後で柔らかい布で軽く押さえるようにして、手の脂が残らないようにします。
炉縁をはめる向きは、花押を亭主の膝前(客付の点前座右手前)にします。
炉・居前 ~ 茶道の知識
点前をするときの正しい座り位置を「居前」といいます。 居前は、流儀によって違いますが、茶室の規矩に拠って定められおり、炉の居前には、「内隅」と「外隅」があります。
点前により炉縁の内隅角へ体の中心が向くようにねらって座る場合を「内隅ねらい」、炉の外隅をねらって座る場合を「外隅ねらい」といいます。