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香合の拝見と見所 ~ 茶道の知識

2016/03/03

香合の拝見と見所 ~ 茶道の知識


香合とは、茶室で香を焚くための、 香を入れる蓋付きの小さな器のことをいいます。

お香には、席中を清めるという意味があり、香を焚くことで、茶室を清浄な空間にし、客を迎えます。

香合の歴史は古く、仏教伝来とともに日本に入り、奈良時代には練香の製法ももたらされ、平安時代には貴族の間で薫物が賞美されました。


お茶を点てるためには、釜でお湯を沸かす必要があり、その際に行うのが炭点前で、このときに香が焚かれます。

現在のように、茶席の炭手前の炭道具のひとつとして香を入れた香合が用いられるようになったのは、16世紀末頃といわれています。それまでは、香は香炉で焚かれていました。


香合は小さな器ですが、動物の形をしていたり、豪華な蒔絵がついていたりと 色や形が豊富で、茶人にとっても大変楽しめる茶道具のひとつです。

大寄せの茶会など炭手前を行わない茶会でも、香合は床の間に飾られます。また、待合などに炭道具をかざる場合も、香合は床の間に飾られることが多く、こういったことからも、香合は炭道具を代表する特別な茶道具といえます。



香合の見所・拝見の流れ ~ 茶道の知識


香合は素材の特徴から、季節により、香合の材質と用いる香の種類が替わります。

炉(11月〜4月)の時期には、粉末状の香木を蜂蜜などと練って固形状にした 「練香」を入れ、練香を直にいれても大丈夫なように、陶磁器の香合を使います。

風炉(5月〜10月)の時期は、白檀や沈香を1cm四方程度に割り入れた 香木を入れますが、乾いた香を用いますので、塗物や木地などの香合が使われます。他の材質として、金属や貝類などの香合がありますが、これらは炉・風炉両用です。


炭手前が省略される茶会などでは、床に掛物、花・花入とともに香合を炭手前に用いる紙釜敷にのせて飾ります。

香合拝見の際は、掛物、花と香合との全体のバランスを見るようにし、釜敷の色との調和も楽しみましょう。


香合は蓋物ですので、蓋を取り、蓋も身も拝見します。蓋の上の部分を甲といいますが、陶磁器の蓋の甲は摘みが付いたり、絵付けや彫りなど、最も特徴となる見所のある部分です。塗り物の甲も、蒔絵や彫りが施され、見所となっています。

蓋の拝見では、蓋と身を同時に手に持たないように、注意しましょう。また蓋をとるときには、左手を添えて、両手で大切に扱いましょう。


※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。