茶の湯 歳時記 ~ 九月 ~ 茶道の知識
茶の湯 歳時記 ~ 九月 茶道の知識
茶の湯歳時記~十二か月のうち、九月の主な茶趣や行事などを紹介します。
九月の別称~長月、菊月、紅葉月、季秋、玄月など
九月の二十四節気~寒露(寒さが感じられるが過ごしやすい時期、農家では収穫期、霜降(日増しに気温が下がり、紅葉季節となり初霜の降りる頃)
九月の茶趣
月見の茶
旧暦の八月十五日を中秋(秋の真ん中)として、その夜の月「中秋の名月」を愛でるという行事は中国から伝わったものですが、日本でも、古くから中秋の名月に浄土を願ったり、この日に初穂を祝って、芋や団子、枝豆、ススキの穂、萩などを備えたりする風習がありました。 この秋の風習を茶の湯に取り入れ、名月を観賞するのが月見の茶です。 燈火は用いず、簾などをはずして、席中に月明かりを導いて行うのが風流とされています。茶道具の取り合わせも、月見、望月、月に秋草、舟、雁など月に寄せる主題が多く用いられます。
重陽の節句
月と日がともに陽数で最も大きい九を重ねるところから、九月九日は重陽の節句とされ、長久に通じるとしてめでたい日とされてきました。重陽の節句に、花色小袖を着るという習わしがあり、菊酒を飲んで長寿を祈ったということから、菊にちなんだ茶道具が多くみられます。 釜には菊形や菊水地紋のものや、香合には菊置上、菊蒔絵、茶碗は菊の絵の茶碗、棗は菊大棗、乱菊棗、水指は菊置上や菊文などがあります。また、主菓子には菊の花をかたどった練切があります。
九月の行事
天然忌
「表千家の中興の祖」といわれる表千家七代家元如心斎天然の命日は、八月十三日ですが、家元では、一か月繰り下げて、毎年九月十三日に居士の遺徳を偲び「天然忌」が営まれます。
七事式を制定した如心斎は、多くの好み物を残しました。
天然忌には、残月亭の床に如心斎の円相一軸が掛けられ、その前に家元が季節の白い芙蓉の花をいけて、天目茶碗にて供茶が行われます。天然忌は、表千家では、初釜・利休忌と並び、三大行事のひとつとなっています。
九月に使われる掛物・銘
掛物…月白風清、水月空華、和気兆豊年、天高一笛清、千里一望秋、月落不離天、逢月打月など
銘…菊合、落ち栗、竹生島、十五夜、武蔵野、きせわた、虫しぐれ、待宵、有明、豊秋・捨扇など
九月の言葉~月の鏡、月の客、小望月、花野、野分、萩の錦など