茶の湯 歳時記 ~ 八月 ~ 茶道の知識
茶の湯 歳時記 ~ 八月 ~ 茶道の知識
茶の湯歳時記~十二か月のうち、八月の主な茶趣や行事などを紹介します。
八月の別称~葉月、萩月、観月、素月、紅染月、伸秋、草津月など
八月の二十四節気~白露(草木の葉の先に露が残る頃、朝夕めっきり涼しさが増してくる頃)、秋分(彼岸の中日、昼と夜の長さが等しくなる)
八月の茶趣
朝茶事
夏の風炉の季節に行われる茶事で、酷暑の早朝に新鮮な爽やかさと静寂な雰囲気を楽しむために開かれます。 夜明け前の露地にたっぷりと打ち水をして清涼の気をみなぎらせます。
日が高くならないうちに茶事を追えるように、午前五時から六時頃までに席入りし、初炭、懐石、中立後、後席で濃茶、薄茶を立てて終わる形式が多いようです。
涼を呼ぶ趣向が朝茶事には好まれ、小ぶりな土風炉に荷葉釜や雲龍釜をあわせたり、木地釣瓶や広口の水指、瓢の香合、平らな茶碗や透かしの炭斗などが用いられます。
八朔釜
旧暦八月朔日(一日)を八朔といい、かつては稲の実りを祈願する農耕儀礼の日でした。徳川家康が初めて江戸城に入ったのが八朔で、それ以降、大名や家来が登城し祝詞を述べたことに由来し、茶の湯の世界でも弟子たちが家元に挨拶に行く暑中見舞の日となっています。
例えば、千家出入りの職方が、八朔(八月一日)の朝にそろって家元に暑中見舞の挨拶に訪れ、茶を喫して、点心を囲むのが通例となっているそうです。
八月の行事
盂蘭(うら)盆会
先祖を供養する仏事で、地域により異なりますが、おおむね八月中旬に行われます。十六日の精霊流しを景物として、供養の釜をかけることもあるそうです。釜は阿弥陀堂釜、切子釜、荷葉釜、茶杓の銘は面影、しのぶ草、露草などが相応しいとされます。
大文字送り火
八月十六日に行われる京都の大文字送り火は盂蘭盆会の精霊送りの一大伝統行事となっています。東山の大文字、西山の左大文字に点火され、この大文字を見る釜が、納涼を兼ねてかけられます。
八月に使われる掛物・銘
掛物…天照大神、渓声広長舌、神、九夏寒巌雪、心与水月涼、青天白日怒雷走など
銘…夢、舟、清涼、納涼、萩の露、星月夜、花灯籠、灯籠流し、稲びかりなど