新着情報

懐石とは ~ 茶道の知識

2016/01/15

懐石とは ~ 茶道の知識


茶の湯で最も正式に客人を招いてもてなす方法を「茶事」といいますが、この茶事は、濃茶を最もおいしく客人に召し上がっていただくためことを第一の目的とするものです。

濃茶を客人に供するために、「炭手前」をし、「懐石」でもてなし、最後に「薄茶」で終わります。

懐石は、茶聖・千利休が桃山時代に茶道を確立していく中で、濃茶を美味しくいただくために始まりました。


懐石は、茶事での料理のことをいいますが、懐石により客人をもてなすという意味があるとともに、腹加減を適度にすることで、刺激の強い濃茶の胃への負担をやわらげるという役割も果たしています。

懐石は、元来、茶事で濃茶を美味しく味わう上で差し支えのない程度の和食料理を指していますが、近年は、料亭や割烹などで懐石料理を扱うところが増えており、茶事における懐石と区別するために、「茶懐石」と表わされることもあります。


「懐(ふところ)に石を抱く」という意味の懐石は、禅僧の食事に由来しています。修行中の禅僧の食事は午前中に一度と決められており、夜になると空腹で体温が下がるため、温めた石を懐に抱いて、飢えや寒さを忍んでいました。このことから、懐石は「空腹を満たし、身体を温める質素な食べ物」を意味するようになり、千利休が禅料理の精神を、茶の湯に取り入れたと伝わっています。


懐石では、亭主と客人どちらにも作法が決められていますが、亭主は、四季の旬の素材で季節感を大切にした献立を作り、材料の色や香り、味を最大限に生かすことを心掛けます。

また、温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たくといった心配りをし、料理を運ぶ“間”も重んじるなどの作法があります。 現在の懐石では、「一汁三菜」が一般的で、ご飯、汁、向付、煮物、焼き物のことを指します。さらに強肴(預け鉢)が追加されることもあり、その後、吸物、八寸、湯、香の物が出されます。

 

御膳

懐石では、はじめにお膳でご飯、汁、向付で出されます。この時のご飯は「炊き立てをまず一口」という意味から、一口分、少量出されます。汁は味噌仕立てのものが一般的で、向付は野菜のひたし物やあえ物が出されます。

 

銚子・盃

客人がご飯、汁を味わうのを待ち、お酒がすすめられます。客人はお酒が出た後に向付に箸をつけます。

 

煮物

煮物は、洋食でいうメインディッシュのような存在で、中身がたっぷりとした、吸物仕立てが多いようです。亭主にすすめられたら温かいうちにいただくようにします。

 

飯次(食次)・汁かえ

飯次は、炊き上がった飯を移し入れておく共の盛蓋付の低い寸胴形の飯櫃です。 懐石で、人数分のご飯が入った飯次が出されたら、正客から申し出て飯次を預かり、かわりに亭主は正客の汁椀を預かって下がり、連客の汁も順次変えます。末客は、一巡した飯次と銚子を給仕口に返しておきます。

 

焼き物、飯次、銚子

飯次などを返してしばらくすると、焼き物、続いて、二度目の飯次がだされて汁がすすめられます。正客は飯次を預かり、連客に尋ねたうえで、二度目の汁かえを時代します。酒の銚子もここであらためて出されます。 焼き物は、主に魚で、煮物、蒸し物、揚げ物でもよいとされています。

 

強肴

「一汁三菜」以外に強肴がだされることがありますが、これはご飯のおかずとなるもので、炊き合わせなどが出されます。別に酒をすすめるためにだされる強肴は、酒盗と呼ばれます。

 

吸物

間をみて吸物が出されます。懐石の吸物は白湯に近いすまし汁で箸洗いともいわれています。食事から酒肴へ移る橋渡し役のため、淡い味となっています。

 

八寸

盃時の酒肴です。海の物と山の物の二種(または三種)が盛られます。八寸と銚子がもちだされ、亭主が一人一人に酒を注ぎ、肴をとって渡し、酒と肴が末客まで行き渡ったところで、亭主は正客のところへ戻り、「お流れを」と言って自分も盃を所望します。その後、亭主と客が一つの盃で酒を注ぎ合います。客人に応じて、さらに強肴(酒盗)」と称される珍味が出される場合もあります。

 

湯・香の物

湯は湯の子(炒り米)入りの白湯で、香の物は主にたくわんで、季節の漬物を添えます。亭主は湯次と香の物を出し、吸物椀を片付け、給仕をしめます。客人は一口残しておいたご飯に湯を注ぎ、湯づけにしていただきます。ころあいをみて、器をぬぐうなど、後片付けをし、食事を終ったことを亭主に知らせるため、全員揃って箸をお膳に落とします。亭主は正客の御膳から順次さげ、一礼します。


懐石料理の作法は、茶道の各流派によって厳しく決められていますが、ここでは表千家の一般的な懐石について述べています。 



茶道具買取・売却の極意 TOPページはこちら!