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拝見とは ~ 茶道の知識

2016/02/16

拝見とは ~ 茶道の知識


拝見は「見る」ことをへりくだった言い方ですが、茶道での拝見というのは、亭主のしつらえた道具を鑑賞して、その心入れを察することにあたります。


茶道の世界、茶席では、様々な場面で「拝見」という所作が必ずついてまわります。これは亭主のもてなしの心を感じるのに欠かせない行為です。

拝見は、茶道具だけに対して使われる言葉ではありません。亭主のもてなしの心を表現した茶室という空間そのものを感じとることも、拝見の一部といえるでしょう。


正式な茶席・茶会では、点てたお茶を「結構なお点前でした」と、いただいて終わりというわけではなく、お茶をいただいた後に、亭主の揃えた茶碗や棗の形や塗りを聞いたり、茶杓の作者や御名を尋ねるといった「拝見」という作法があります。


拝見は、茶席での重要なコミュニケーションのシーンとなります。 亭主は、その茶会のために長い時間をかけて、客やテーマにあわせた茶碗、棗、茶筅、茶杓などの茶道具を吟味し、ととのえます。

亭主のもてなしの心のこもった茶道具を、身近に手をとって拝見させていただく客側も、心構えと敬意をもって臨むことが大切です。拝見は客の心得のひとつとして、ふさわしい姿勢・作法を身に付けましょう。


基本の形 ~ 茶道の知識


流派などにより異なりますが、茶会では案内に従って茶席に入り、床の間の掛物や花、花入、点前座の道具を拝見します。拝見の後、自分の席に座ります。


茶席では座る順序があり、一番亭主に近い場所に座るのが正客(主賓)で、以下、次客、三客と続き、最後に座るのは末客(お詰め)となります。

通常、拝見のあと、正客のみが亭主と問答を行います。拝見の後に行う問答は、茶道の道具や趣向についての亭主とのやりとりですので、客の代表である正客の役割はとても重要となります。正客は、事前に依頼され、通常は技量のある人が務めます。


拝見・床荘り ~ 茶道の知識

掛物(掛軸)

茶会や茶事で掛物だけが飾られた床を拝見する時は、まず床の前ににじり進み、正座し、扇子を前に置いて、一礼します。指先を軽く畳についたまま、掛物の語句や落款、表具などの順に拝見していきます。

拝見後は、再度お辞儀をして立ち上り、点前座に進み、風炉・炉と釜を拝見します。

拝見を終えたら、必ず畳の縁角を通って自分の席に戻って座ります。この時、畳の縁は踏まないように気をつけましょう。


花・花入

茶事の後座などでは、床に花だけが飾られることがありますが、その場合は床の前ににじり進んで正座し、畳に軽く指先をついたまま、床全体の調和を拝見します。そして、花と花入に目を移し、拝見します。

拝見の主体は花なので、花入の所望は避けたほうがよいとされています。ただし、竹の花入などは銘をうかがうことがあります。


諸荘り(もろかざり)

大寄せの茶会では、掛物と花をともに床に飾る諸荘りが一般的です。諸荘りは炭手前を省略することが多く、香合もあわせて飾ることがあります。


諸荘りでは、床の正面中央に座り、扇子を前に置き、お辞儀をして、まず掛物を拝見します。次いで、花と花入を観賞し、つづいて香合を拝見します。

炭手前を省略する場合、香合は紙釜敷などの上に飾られ、中には香が入っています。床の広さにより、香合の方へ体を向けて拝見する場合もあります。

掛物・花・香合のバランスを見て、香合と紙釜敷の色との調和までを楽しむとよいそうです。


拝見というと難しいイメージですが、茶会・茶事に招かれたら、あまり堅苦しく考えず、目に入るものすべてに関心を持ちましょう。素直に感じとるということが基本にして、拝見させていただくことによって、心の底から喜びや楽しみが得られるのです。

※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。