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茶の湯とは ~ 茶道の知識

2016/05/19

茶の湯とは ~ 茶道の知識


利休道歌のひとつに、「茶の湯とはただ湯をわかし茶をたててのむばかりなる事と知るべし」 という言葉があります。


茶の湯とは、本来、抹茶を飲み楽しむというシンプルな行為です。しかし、この千利休の言葉をさらに踏み込んで考察すると「茶の湯は湯を沸かし、茶を点て、飲むということであるが、客の様子や状況に応じて、適宜湯を加減したり、分量を調節したりする心遣いが肝要である。お茶を点て、飲むという当たり前のようなことを、当たり前のこととして行うということは決して容易なことではない。だから、日々自分自身をみつめ、しっかりと精進せよ」と解釈されています。


茶の湯は自分自身の生命のもとを看るためのものであり、我欲に捕われないあるがままの自分を見つめる。それが千利休が考えた茶の精神とされています。

こうした千利休の茶の精神を背景として、一碗の茶をいただくというシンプルな行為を楽しむために、様々な生活文化が発達しました。


茶室や露地など建築文化や、茶道具を選んだり鑑賞したりする工芸文化、さらに、茶事の際の懐石や和菓子という食文化、客もてなすための作法の文化など、茶の湯は、一碗の茶を楽しむために、趣向と工夫が凝らされてきました。


香道や華道といったその他の日本の伝統文化に比べ、茶の湯は様々な要素を取り入れているため、日本文化から大きな影響を受けただけでなく、逆に、茶の湯が成立した後は、日本文化に影響を与えたと考えられています。

工芸などの美術的な面だけでなく、政治や社会、宗教、生活とも関係してきた茶の湯は、日本文化の根幹と深く関わってきました。すなわち、茶の湯を理解することは、日本の芸能と日本の芸術文化そのものを理解することにつながるのです。


茶の湯の三要素 ~ 茶道の知識


茶の湯は、茶室という空間で、茶道具という器ものを用いて、点前により供される飲食物を一定の作法にのっとって飲食し、亭主と客が共同して特殊な空間をつくり出すという、芸術の一形態といわれています。


茶の湯は「茶室」「茶道具」「点前」の三要素が揃うことにより、はじめて「茶の湯」ということができ、この三つの要素が一つでも欠けると芸能としての茶の湯として成立しないとされています。

何が一番重要かととらえるのではなく、それぞれが不足なく揃って、はじめて良い茶の湯が実現されるのです。