拝見に使われる表現 ~ 茶道の知識
拝見に使われる表現 ~ 茶道の知識
茶会・茶席・稽古場など様々な茶の湯の場面で、必ずある所作が茶道具の「拝見」です。
客となり、実際に使われている亭主の道具を鑑賞させていただく拝見では、亭主が客に伝えたいこと、そのもてなしの心を感じ取ることが大切です。
拝見という行為を、楽しいと感じとるのも、茶の湯の醍醐味といえます。
ここでは、茶碗や茶杓、帛紗などの茶道具の拝見の問答の際に、よく使われる言葉や表現について紹介します。
茶道具の拝見に使われる表現 ~ 茶道の知識
景色が見事…作品の表情がよいときに使われる表現で、特にやきものの釉薬がつくる様子や調子などにつかわれる。
うつりがいい…調和がとれている。
手取りがいい…茶碗など、持った感じがいい。
姿がいい…全体としての形が素晴らしい。
見所が多い…形や景色など、興味の持てる箇所が多い。
作意を感じさせない…作品が作為的でなく、造形や様子が素直である。
細かい仕事…塗物、細工物、指物(木工、竹細工など板を細かにさしあわせて作った器具)など、手の込んだ作品に対して用いられる表現。
丁寧なつくり…やきもの、塗物、細工物、指物などのつくりが丁寧と感じる時に用いられる。
仕事がきれい…塗物、細工物、指物の作者の仕事の様子に対して使われる表現。
ころあいがいい…大きさが調度よい、いい大きさという意味で用いられる。
表情が豊か…作品の見方により、色々によく見える際に用いられる表現。
ざっくりとした…やきものの土味などに対して用いられる表現。
たっぷりとした…大きさの表現
迫力ある…作品に力強さや意気込みを感じる。
大胆な…茶杓の削り方や、蒔絵などの構図に対して用いられる。
鋭い削り…茶杓の櫂先の削り方に対して用いられる。
手に(しっくりと)馴染む…持った感じがなんともいえず、手にしっくりくるという意味で「手取りがいい」ともいわれる。
侘びた感じ…風情があり、落ち着いて、茶の湯の雰囲気に合う。
深みのある色合い…奥深い色合いを持っている。
おもしろい…景色や色、形など風情があり、取り合わせに興味が惹かれる際に用いられる表現。
時代がついている…「時代がある」という表現もあり、年月を経た古い趣のある作品に対して用いられる。
茶味がある…雰囲気がお茶の感覚にあっている際に用いられる。「茶がある」ともいわれる。
拝見力を高める ~ 茶道の知識
茶道具の拝見を「素直に楽しむ」、すなわち、拝見力を高めるには、より多くの作品に触れ、より多くの知識を持ち、感性を磨くように常日頃から努めることが大切です。
そのためには、専門家に教えてもらったり、美術館や講演会などに赴いたり、時には自分で作品づくりに挑戦するのも、勉強するきっかけになることでしょう。日頃から、何事にも興味を持ち、多くの作品に触れる機会を持ち、できるだけ追求すること、こういったことが拝見力を高め、本当の意味で、茶の湯を楽しむことにもつながります。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。