茶の湯 歳時記 ~ 五月 ~ 茶道の知識
茶の湯 歳時記 ~ 五月 ~ 茶道の知識
茶の湯歳時記~十二か月のうち、五月の主な茶趣や行事などを紹介します。
五月の別称~皐月、橘月、雨月、啓月、早苗月、早稲月、梅色月など
五月の二十四節気~芒種(稲の田植えを始める頃)、夏至(一年で昼が一番長くなる時期)
五月の茶趣
初風炉
立夏のある五月は、次第に夏めく時期です。四月に炉塞をし、五月には席の装いが炉から風炉に改められます。この風炉に改まった当座を初風炉といいます。
風炉では釜が小振りになり、茶碗は浅めのものが好まれるようです。
花入れは、炉では用いられない籠が姿をみせるようになります。 元来、茶の湯は風炉に始まったので、初風炉は重くみられます。
遠州流では、風炉は真塗の土風炉に筒釜をかけることが約束となっています。
端午の茶
端午の節句の五月五日は、三月三日の桃の節句に対して男子の節句です。端午の節句にちなんだ道具を取り合わせて釜を懸けるのが端午の茶です。
鯉、菖蒲、粽、柏餅、兜、太刀、写矢など、勇ましいものを取り入れたり、掛物には鍾馗(中国の疫病を防ぐ鬼神で、日本ではその像を朱刷りにして疱瘡除けの護符とした)の絵や菖蒲の絵、釜は柏釜や兜釜、風炉先には矢屏風、水指も鯉桶水指、荒磯水指、茶碗では菖蒲、立並みなどの銘のもの、香合は冠香合、鯉幟工房など五月五日にちなんだ茶道具の取り合わせを楽しみます。
五月の行事 ~ 茶道の知識
珠光忌
大徳寺の一休宗純に参禅して茶禅一味の境地を会得して「侘び茶」の基礎を確立した茶の湯の開山・村田珠光の忌日である五月十五日前後の第二日曜日に、珠光が若い頃に修行した奈良・称名寺の茶室独廬庵で法要と献茶が営まれます。
金閣寺献茶式
金色の三層楼で知られる鹿苑寺(通称・金閣寺)では、三代将軍足利義満の命日である五月六日に毎年、献茶式が行われます。この献茶式は表千家家元により、二つの中島を浮かべた広い鏡湖池の水面に金色の影を落とす金閣で行われ、大書院と方丈には家元担当の茶席が設けられます。
遠州忌
小堀遠州は徳川家康、秀忠、家光の三代に作事奉行として仕え、仙洞御所、二条城ほか多くの建築、造園に携わった遠州流茶道の祖で、その茶風は「綺麗さび」と称されます。毎年五月第二土曜日に、菩提樹である大徳寺塔頭・孤篷庵(こほうあん)にて遠州茶道宗家家元による供茶式が行われ、遠州ゆかりの茶道具を用いて釜が懸けられます。
五月に使われる掛物・銘
掛物…青山緑水、薫風、清風動脩竹、山水有清音、東山水上行、山是山水是水など
銘…冠、粽、長刀、牛若、早苗、真清水、八ツ橋、武者人形、卯の花、青簾、登鯉など
五月の言葉…葉桜、青簾、鍾馗、花橘、苔清水、薬玉、鹿子など