茶の湯 歳時記 ~ 四月 ~ 茶道の知識
茶の湯 歳時記 ~ 四月 ~ 茶道の知識
茶の湯歳時記~十二か月のうち、四月の主な茶趣や行事などを紹介します。
四月の別称~卯月、余月、鳥月、鎮月、花残月、猛夏など
四月の二十四節気~立夏(夏に入る日)、小満(山野が緑に満ちて田植えの準備が始まる頃)
四月の茶趣
透木釜
三月に好んで使われた釣釜が、日増しに暖かくなる四月に入ると、透木釜にとって代わられます。
炉の火が暑く感じられるようにあるこの時期に、透木を使って平蜘蛛釜や達磨釜など扁平で羽のある釜で炉壇をおおうのは、少しでも客から火をとおざけようとする亭主の心遣いです。透木は、炉壇と釜の羽の間にはさむ桐、桜、梅などの木片のことで、透木を使う時は五徳は用いません。
炉塞(ろふさぎ)
四月末になると、十一月から使われてきた炉も、塞がれる時期となります。行く春の哀感を感じながら、炉とのしばしの別れを惜しんで一会を催すことが多くみられます。
四月の行事 ~ 茶道の知識
大師会
明治二十九年に茶人・益田鈍翁が弘法大師筆の「崔子玉座右銘」一巻を披露する茶会を、弘法大師の命日に東京 品川の御殿山の自邸で催したことに始まる大茶会です。現在は東京の根津美術館が会場となって、例年、四月五日、六日に行われています。天下の名器が一堂に集まる豪華な茶会として全国の数寄者や茶人の関心の的となっています。
二条城観桜茶会
本居宣長が詠んだ「朝日に匂う山桜花」などの詩歌に表されるように、四月といえば桜ですが、桜に寄せる茶では、豊臣秀吉が催した「醍醐の花見」が知られています。
京都の醍醐山中を会場として花の枝に小袖幕をかけて催した風流な野点のこの茶会は、当時の人々を驚かせたといいます。
現在も各地で花見の茶会が催されていますが、毎年四月九日、京都二条城内の清流園では、京都市と表千家主催の観桜茶会が盛大に行われます。清流園の庭園内の和楽庵の茶席をはじめ、立札席、野点席などが設けられ、桜花爛漫の下で多数の参会者が花に寄せる優雅な茶会を楽しみます。
御忌大会
浄土宗の総本山である京都・知恩院で開祖の法然上人の忌日抱擁が四月十九日から七日間行われます。三千家家元が毎年交代で供茶を行い、数箇所に複製位の釜が懸けられます。
四月に使われる掛物・銘
掛物…千里春如錦、百花為誰開、梨花一枝春、柳色新、花開蝶自来、一花開天下春など
銘…山桜、初桜、桜人、桜狩、百千鳥、花蔭、みよしの、花あかり、山ほととぎす、花の雨など
四月の言葉…胡蝶、花の粧、上り鯉、花の塵、花暦、桜尽しなど