棚物の種類~小棚 その2 ~ 茶道の知識
棚物の種類~小棚 その2 ~ 茶道の知識
小棚の種類は、歴代家元の好み物などが非常に多いため、その1に続き何回かに分けて説明しています。
高麗卓(こうらいじょく)
宗旦好。琉球から伝わった高麗台子を半分にして好んだ棚です。四つ柱でありながら間口が広いので、水を指すとき水差しを棚から下ろさなくても水を注げるのが特徴です。
一閑張で、高麗台子と同様、高さが低いので、風炉には使えず、炉のみに使用します。
桑小卓(くわこじょく)
仙叟宗室好。全て桑でできており、天板、中棚、地板があり、四本柱の二重棚です。矢をたてておく矢台から小棚とされたもので、地板の側面が矢筈になっています。
中棚が地板より二寸高と低い位置にあり、中棚と地板との間が聖脚になっています。使用する建水は平らで、中に蓋置を仕組んで地板の上に荘ります。炉・風炉ともに用いられます。
杉棚(すぎだな)
玄々斎好の薩摩杉の木地の二重棚です。玄々斎が薩摩杉の長持をいかして棚につくりかえたといわれています。もとは玄々棚と称しました。
天板と地板は方形、横板には左右とも中棚の上に香狭間の透かしがあります。中棚は桟の上にのり、点前中に前後に動かすようになっています。杉棚は、炉と風炉ともに用います。
更好棚(こうこうだな)
玄々斎好の黒掻合塗爪紅の桐材二重棚です。名前の由来は、利休好の三重棚の上一段を取って、好みかえられたからといわれています。また、先に桐木地でつくったものを、黒爪紅で改めて好みかえたからという説もあります。桐材で青漆爪紅木地のものもあります。風炉・炉ともに用いられます。
焼桐棚(やきぎりだな)
焼桐棚は、裏千家又玄斎一燈宗室が好んだ棚です。唐物の中央卓を木地で好かえられたもので、一燈好水指棚ともいいます。
水指に約束があり、同じく一燈好の赤楽八角振々水指を地板に荘ります。アーチ状の四本柱で、天板は筆返しになっており、裾で張った鐘楼形の棚です。
勝手付には煮黒目の釘が打たれていて柄杓が掛けられるようになっており、地板には雲脚がついています。炉・風炉ともに用いられます。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。