炭道具の基本的な扱い ~ 茶道の知識
炭道具の基本的な扱い ~ 茶道の知識
炭点前で使われる炭道具は、茶会・茶事の出席者の前で炉や風炉の炭を組み替える点前で使用されます。
炭道具は一つの道具の名前ではなく、炭点前で使われる道具一式の総称で、基本的なセット内容は、炭斗、火箸、羽箒、鐶、釜敷、灰器、灰匙が代表的です。
ここでは代表的な炭道具の基本的な扱いについて、裏千家の教本などをもとに説明します。
炭斗(すみとり)
炭斗は、炭を組み入れ、香合・羽箒・釜敷・鐶・火箸を添えて席中に持ち出す器のことです。炭斗にはたくさんの道具が詰まっていますので、雑に扱うと中の炭や道具が壊れたりしますので、一つ一つの道具を正しく美しく扱うように心掛けるようにします。
炭斗の仕組み方は、初炭、後炭、本勝手、逆勝手などによって異なりますが、道具を組んだ炭斗を移動するときは、炭斗の中央を深く持ち、指を添えて、安定させて美しく持ちます。
香合
香を収納する蓋付きの小さな容器である香合は、掌にのる小さなサイズです。香合は、心身を清め、席中の空気を清め、さらに炭の臭気を消す効果も勘案されています。
炭斗から取り出す際は、指先まで添えて、下の身まで持ったことを確認し、丁寧に扱います。生き物を題材とした香合の場合は、顔を持たないようにします。
香合の蓋を開ける際は、右手で香合を取って、左掌にのせ、右手で蓋を開けます。
羽箒
羽箒の扱いは、鼻をつまむように、指に丸みを持たせて持ちます。かがってある糸より前をもたないようにします。刃先を使い、炉縁や炉壇、五徳の爪を柔らかく拭きます。手前を掃くときは掌をみせないようにします。
羽箒は虫に食われやすいので、保管するときは箱に防虫香を入れます。
火箸
炭や火を扱う火箸は、通常の箸を持つように持ちます。火箸を正しく扱えるようになると、炭を正しく持つことができます。
使った後は、炭の汚れと手脂を取るため、一本ずつ湯通し、その後は乾いた布巾で拭いて乾かします。桑柄の火箸など、柄のあるものは、箸の先だけ湯通しし、柄は乾いた布巾で拭き清めます。
灰器
灰器は炉や風炉の中に灰匙で蒔くための灰を入れる器です。灰器は灰匙の向う側、右手で深く持って運び、置くときは左手で扱って右手で浅く持ち直します。
灰匙
風炉や炉の中に灰をまくための匙は、風炉用には小ぶり、炉用には大ぶりのものを用います。
風炉…灰匙は指先に力をいれず、親指が人差し指より前に出ないように柄を持って扱います。灰匙寄りの糸の部分より先は持たないようにします。
炉…灰匙で湿し灰をすくうときに、灰器の底にあたらないように注意します。
灰匙は、鼻をつまむように指に丸みを持たせて持ちます。湿し炭を蒔くときは、指先に力を入れずに扱います。右横から手前の一辺を蒔くときは、灰匙を下から受けるように持ちかえ、湿し灰をすくって蒔きます。
鐶
鐶は釜の上げ下ろしのために、釜の両端にある鐶付という穴に通す金属製の輪です。鐶を取るときは横に持ち、鐶を釜にかけるときは指を揃えて、親指が重なるように左右に持ちます。 鐶を釜の鐶付からはずしておくときは、左右の指を添えて、横に持ち重ね、縦に持ち直して置きます。
鐶を炭斗に戻すときは、左右の横を持って重ね、手前に持って中に入れます。
紙釜敷
紙釜敷は、席中には炭斗に入れず懷中して出ます。炉のときはワサ(輪)が左側になるように懐に入れます。風炉では、ワサが右側になるように入れます。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。