茶の湯 歳時記 ~ 三月 ~ 茶道の知識
茶の湯 歳時記 ~ 三月 ~ 茶道の知識
茶の湯歳時記~十二か月のうち、三月の主な茶趣や行事などを紹介します。
三月の別称~弥生、雛月、花月、花見月、桜月、夢見月など
三月の二十四節気~清明(春のすがすがしい時期、草木の花が咲き始める頃)、穀雨(穀物の発芽をうながす春雨が降る頃)
三月の茶趣
雛祭りの茶
三月三日の上巳の節句(桃の節句)に、女児のいる家では雛人形を飾って調度品を備え、菱餅、白酒、桃の花などを供えて子ども健やかな成長と幸せを祈ります。
この日、子どもたちを交えて催される雛の茶は、立雛の絵などを飾り、釜は乙御前や色紙地紋などの釜が持ちられます。水指は菱餅にちなみ、呉須菱馬、柳橋絵水指、茶碗は金銀菱重茶碗、桃形の茶碗、香合には貝合わせの貝などが好まれます。
釣釜
炉の季節が終わりに近づく三月になると気候も暖かくなってくる時期には、釣釜が好んで用いられます。
通常、釜は炉の中に設置した五徳の上に乗せられていますが、釣釜は、広間では鎖を、小間では竹の自在を天井の蛭釘から提げ、大鎖・糸鎖をつけた小ぶりな釜を弦を使って釣ります。 釣釜には、雲龍、車軸、鶴首、棗形といった細長い小さめの釜が好まれます。
釣り下げている釜なので、点前中に柄杓をかけるときなど、釜がゆらゆらと揺れる様などが、春の風情を表しているとも捉えられます。
三月の行事
彼岸会
春分・秋分の火の前後三日間を彼岸とし、初日を彼岸の入り、四日目を中日、最終日を彼岸のあけといいます。「暑さ寒さも彼岸まで」といわれ、この頃には気候もよくなるので、釜がかけられる機会が多くもうけられます。 釜には、鐘形の尾上釜や九輪釜、香合には創始、木魚などが用いられ、故人の手造りの茶碗や茶杓などあれば追善にもなります。
利休忌 ~ 茶道の知識
利休忌は茶家最大の行事です。千利休の忌日は二月二十八日で、二十四節気上では命日が晦日にあたるので、現在の利休忌は新暦に直して三月に行われています。
表千家では三月二十七日に、表千家と藪内家では二十八日に催され、大徳寺でも二十八日に三千家が交代供茶釜をかけます。千利休の画や居士号を掛け、前に三具足で荘厳して菜の花を手向けます。
炉は釣釜を懸けて、台子飾で家元が供茶を行います。供茶のあとには七事式が行われるのが恒例となっています。
三月に使われる掛物・銘
掛物…桃花笑春風、花開萬国春、柳緑花紅、春来草自生、東山春色古来多、百花春到為誰開など
銘…若草、春水、青柳、土筆、春霞、陽炎、春の暮、貝尽くし、潮干狩り、五人囃子など
三月の言葉…霞、八重霞、桃源、紫雲、桃源、忘れ雪、若桜、うらら、山笑う、春眠など