莨盆の種類 ~ 茶道の知識
莨盆の種類 ~ 茶道の知識
莨盆(たばこぼん)は「煙草盆」とも書き、火入、灰吹、莨入、煙管など、喫煙に用いるもの一式を納める道具です。
茶事では、待合席や腰掛待合に出され、本席では後座の薄茶のときに持ち出しますので、3種類の莨盆が必要になります。
タバコが日本に伝わったのは16世紀末頃とされており、千利休の時代には莨盆は存在していませんでした。茶席に莨盆が登場するのは、江戸時代に入って宗旦 ・ 遠州・宗和の時代からではないかと考えられています。宗旦好など好み物の莨盆が登場し、江戸時代後期には、莨盆一式が茶事の道具として一般的になったとされています。
莨盆
莨盆は手付のものと、手のないものの2種類に大別されます。唐物と和物があり、唐物には、蒟醤・青貝・漆器・藤組・籠地のものなどがあり、その多くは転用品です。
和物には、唐木・松・桑・桐などの木地、一閑張、真塗、溜塗、部分的に蒔絵を施したものなどがあります。 莨盆の形も櫛形、文箱、丸形、行李蓋(こうりぶた)などのほか、つぼつぼ透、香狭間透、桐透など透かしの施されたものなど多彩です。
火入
火入は喫煙用の炭微をいれておく器で、陶磁器製のものが多く、金属製のものも稀にみられます。唐物の染付、呉須、祥瑞、赤絵などがよく用いられます。莨盆との調和によって、織部焼、志野焼、京焼の名工のものなど、様々なものが取り合わせられます。火入の形には雲堂、四方、箪瓢、末広、桃、鮟鱇などがあります。
灰吹
灰吹は、火入とともに莨盆に仕組まれる、吸い殻入れです。茶席では竹のものを使うのが約束です。正式には青竹が用いられ、一会ごとに新しいものと取り替えられます。名残りには、青竹の色褪せたものや、半枯の竹を使うこともあります。
莨入・煙管
現在では見かけることの少なくなりましたが、かつてのタバコは刻みタバコでした。この刻みタバコをいれておくのが莨入です。香料や薬味入を見立てたもので、唐物では青貝入・象牙・堆朱・堆黒・竹根などのほか、畳紙や懐紙などを折ってつくる紙莨入もあります。
茶席の莨盆には、羅宇のある煙管を添えます。正式には対で用いますが、莨盆によっては1本でも構いません。また、莨入・煙管を略して、火入と灰吹だけを莨盆に仕組む場合もあります。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。