点前とは ~ 茶道の知識
点前とは ~ 茶道の知識
茶道は、たった一杯のお茶を、客に少しでもおいしく召し上がっていただくこと、ただそのことのためだけに、ひたすら心を込めてお茶を点てるというシンプルな中に奥深さのある行為です。客も、亭主のこうした心遣いをよく理解し、心からの感謝の気持ちを表す...こうした心と心の交流が、茶道の究極の目的とされています。
点前とは、亭主が客に茶を点てて差し上げるという一連の所作を指します。
13世紀初頭に抹茶の飲用法が日本へ伝来したときは、別室で茶を点て、客のいる部屋に運ぶというスタイルであったため、点前といえるものは存在しませんでした。
15世紀に茶数寄が現われると、そこで使う道具とともに、茶を点てる一連の動作も注目されることとなります。それにしたがって、一定の型が考案され、点前の原形ができあがったと考えられています。
当初、点前は台子や天目茶碗等を使用した格式ばった作法でした。しかし、村田珠光、武野紹鴎の時代を経て、千利休により、不必要なものは全て捨て去り、心を込めた、暖かいお茶を、少しでもおいしく召し上がっていただくために最小限必要な所作に凝集させた「草庵点前」が完成しました。
点前の順序 ~ 茶道の知識
点前は、家元制度が出現すると、家元から弟子に授与される「型」として家元制度の根幹を支えるようになりました。
点前には、以下のような準備・点検・点茶、洗浄・収納など基本的な順序があり、点前の種類によってそれに付加的な動作が加わります。
1.亭主が水屋で茶を点てる準備をし、道具を茶室内に運ぶ。茶室では、道具の点検や、美味しいお茶が点てられるように道具を整える。
2.亭主が茶碗の中で茶の粉と湯を撹拌して、茶を点てる。
3.亭主が茶の入った茶碗を客に出し、客がそれを受け取って茶を飲む。
4.客が飲み終わった茶碗を戻す。
5.亭主が戻った茶碗を洗い、次の茶を点てる準備を行う。
6.次に茶を点てる必要がない場合は、それを確認して亭主が片付け、茶道具を元通りに整え、茶室の外に運び出す。
点前の特徴 ~ 茶道の知識
茶道研究家による点前の特徴は主に以下の通りとなっています。
身体の美
一種のパフォーマンスアートとも例えられる点前は、一連の所作と姿勢に美しさが求められます。 連続と間 点前は最初から最後まで、同じようなペースで行うのではなく、時には早く、時には一瞬止まる「間」を大切にし、メリハリをつけて行います。
一座建立
主客が点前を媒体として、飲食を共にし、会話することで、茶室内を特別な空間に創りあげ、主客が一体感を持つことをいいます。
一期一会
客とともにつくりあげた空間は、時間と空間の中でただ一つのものであり、同じ顔ぶれ、同じ場所で茶会を行ったとしても、全く同一の茶会は二度となく、この会はただこの時だけに存在する会であるということを意味します。