水次の種類 ~ 茶道の知識
水次の種類 ~ 茶道の知識
水次(みずつぎ)とは水注とも書き、席中に置かれた水指や釜に水を補うための道具です。水次は茶巾、あるいは茶巾と蓋置と共に持ち出します。
水次の種類としては、片口(かたくち)と薬鑵(やかん)の二種類があります。
片口
円筒形に注ぎ口と持ち手がついています。同じ材質の盛蓋が添い、木地曲、塗り、やきものの三種類があります。
片口は木地曲の胴に持ち手と長い注ぎ口が付いたものが正式とされ、千利休は赤杉を好んでいます。 塗りの片口は黒塗りで木地曲と同形です。
やきものは木地曲や塗りの形を写したもので、仁清風の色絵のものが多くみられます。 曲の片口は侘びの趣向で水指として用いることもあります。
薬鑵
唐銅、素胴、モール、南鐐など金属製のもので、注ぎ口と上手が付いたものの総称です。 薬鑵では利休好の素胴の腰より下を黒く色つけた腰黒薬鑵があります。この薬鑵は千利休が天正15年(1587年)北野大茶湯に際して、初代中川浄益に注文したのが始まりとされています。
この腰黒薬鑵は、表千家では千利休が好んだとき既に蓋がないことを重んじて蓋無し、裏千家は口蓋付が好んで用いられます。
薬鑵はその侘びた風情や素銅やモールなどさまざまな素材でつくられているのも魅力ですが、その一つにヘゴ薬鑵があります。
ヘゴ薬鑵はへこみ薬鑵ともいますが、金属製の胴をいくつも打ち出してへこみを作ったものです。この薬鑵は玄々斎も使われていたらしく、知恩院の宮様御成りの祈りに、初めて大炉を披露し、水指にヘゴ薬鑵を使って山里の風情を演出したと伝わっています。
その他の水次
木地曲で大きめ片口の把手のない形のものを大口といいますが、他の水次と同様に釜や水指に水を注ぐのに用いたりします。大口も侘びの趣向から、置き水指として使用することがあります。
また、基本の片口や薬鑵のほか、今日では、洋食器のティーポットや蓋つきのビールジョッキなどを水次に見立てて面白い趣向で用いられることもあるようです。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。