風炉先屏風のいろいろ ~ 茶道の知識
風炉先屏風のいろいろ ~ 茶道の知識
風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)は一般には「風炉先」と呼ばれ、道具畳の向こうを囲う二枚折屏風のことを指します。
風炉先屏風は広間など広い茶席の手前畳を他の畳から区切ることがその役割で、小間の席や、壁を塗り回した席、風炉先窓が付設された茶室では使用しません。
日本での屏風の歴史は古く、奈良時代にはすでに中国から渡来していたようで、正倉院の宝物にも伝わっており、また「源氏物語絵巻」などにも寝殿造りの部屋の間仕切りや、風除けとして描かれています。
風炉先屏風の形態 風炉先屏風の名称は、縁(ふち)、地、縁(へり)、腰の、それぞれの材質などを組合せて表されます。 縁は木製の枠で、生地のままのものや、漆塗のものなどがあります。地は紙の部分で、絵や字が書かれることもあります。縁はない場合もありますが、地の周囲に回された裂地をいいます。
腰は屏風の下部で、板が嵌め込まれたり、その板に透かし彫りがほどこされたりもします。季節により、腰に葦や紗が張られたものもあります。 また、腰だけのものもあり、これを「腰風炉先」といいます。
風炉先屏風の形はさまざまあり、好み物も多くありますが、利休形と呼ばれるものを基本としています。
利休形の風炉先屏風といわれるものは、鳥の子の白張りで、四方の蠟色塗の縁が付いたものを、基本の形としています。流派や好みによって寸法は若干違ってきますが、高さ2尺4寸(約72.7㎝)、横3尺1分(約93.3㎝)の二枚折りがよくみられるサイズとされています。
表具、形、縁の素材など、さまざまな種類があり、点前や季節などで使い分けします。 その他、この基本の形より少し背が低い、1尺8寸(約54.6㎝)の宗旦好や、「片落とし」といって客付側だけを斜めにきってあるものもあります。
結界
屏風とは趣きを異にしますが、結界を点前座向こうに置くことがあります。結界(けっかい)とは、もとは”修行などのためにある区域を限る”ことをいう仏教用語で、寺院内の外陣と内陣を区切る柵のことを指しています。
茶席の結界もこれにならったもので、風炉先屏風の代用品として、点前の都合や、茶会などで広間を小間据えにするときなどに用います。結界は座頂・座障とも呼ばれ、衝立で脚のついているものが多くありますが、単に竹一本で渡したものなど形には種々あります。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。