棚物の種類~立礼棚 ~ 茶道の知識
棚物の種類~立礼棚 ~ 茶道の知識
立礼とは?
立礼は「りゅうれい」と読み、椅子に腰を掛けて点前をするスタイルのことを指します。
1872年(明治5年)、西本願寺・建仁寺・知恩院を会場として開催された第1回京都博覧会で、京都府参事から「外国人も楽しめるような茶席を」との依頼を受けた裏千家茶人・前田瑞雪が、11代玄々斎に相談し、椅子とテーブルによる点前を考案したものです。
この博覧会には外国人観光客も多く訪れたとのことですので、椅子に座って気楽にお抹茶をいただける立礼席は、正座をすることが厳しい外国人にとってやさしい作法となりました。
立礼席の作法は、お年寄りなど正座が苦痛な人にとっても、やさしいスタイルといえるのではないでしょうか。
椅子に座って点前する立礼では、お客様も椅子に腰を掛けて、お茶を頂きます。
裏千家で始まったこの立礼という点前が各流儀においても取り入れられ、各種の立礼棚、立礼卓がつくられています。
立礼は点茶盤、喫架、円椅からなっています。 点茶盤は、立礼に用いられるテーブルのことで、黒掻合わせ塗の碾茶盤を竹の四本柱が支え、下部は杉木地の山道形の腰板がはまっており、中棚も杉木地で桟にのせられています。点茶盤の右側に喫架(点茶盤に添えるテーブルのようなもの)を置き、円椅に座って点前をします。
立礼の準備
皆具を用い、勝手付中央に風炉釜、中央向こうに差通しの柄杓・飾り火箸を立てた杓立、その前に蓋置を仕組んだ建水、客付中央に水指を置きます。
風炉は灰器を用いない唐銅に限られており、切掛が好ましいとされています。
下板には炭斗を置きますが、立礼のために好まれた玄々斎好の松唐草杉木地炭斗などが多く用いられます。
御園棚(みそのだな)
立礼棚のひとつである御園棚は、今上天皇立太子礼の記念に好まれたとされ、京都大宮御所での祝賀茶会に用いられ、命名されました。荷負形で両側には朱色の組紐が華鬘(けまん)結びになっています。
御園棚は、点前座の右棚に水指、左側に釜を横一列に置きます。柄杓は縦に引きます。中央の棚の右向こうに薄茶器と茶巾、茶筅、茶杓を仕組んだ茶碗を置き合わせ、左の中板には建水、右の中に田には替茶碗をおきます。14代淡々斎が好まれました。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。