棚物の種類~小棚 その3 ~ 茶道の知識
棚物の種類~小棚 その3 ~ 茶道の知識
小棚の種類は、歴代家元の好み物などが非常に多いため、その2に続き何回かに分けて説明しています。
五行棚(ごぎょうだな)
玄々斎好の陰陽五行を表すといわれる棚です。もとは大工・木村清兵衛の作で、焼杉の杢目洗い出しの二枚板に白竹の三本柱の棚です。
この棚の名称は、天板地板に棚の木、風炉中の火、土風炉の土、釜の金、釜中の水の木火土金水の五行を収めるところからついたとされています。
竹の柱は、一節の向こうに、二節を客付、三節を勝手付とします。地板には、金属製ではなく、小振りの土風炉を置くのが約束となっています。水指を置いて使用することはありません。
香狭間棚(こざまだな)
桐木地で白竹の四本柱の四方二重棚で、又玅斎(ゆうみょうさい)好です。客付は吹抜、勝手付の胴板には上段、下段に香狭間の透かしがあります。地板はなく、水指は運び出しで、蓋を取る前に中棚を向ういっぱいまで突くという約束となっています。炉・風炉とも使われます。
三友棚(さんゆうだな)
又玅斎好。明治初期に大徳寺の和尚が三千家の融和を計り、山内の松、竹の材を提供し、裏千家・又玅斎は竹の二本柱を、表千家・碌々斎は松の天板と地板を、武者小路千家・一指斎は天板の面にこぼれ梅蒔絵を好んで四つつくられました。天地方円の板には拭漆がされ、二本柱には勝手付に自然の細枝で掛釘がついています。用いられる時季は炉のみです。
源氏棚(げんじだな)
桑の四本柱の二重棚で、圓能斎(えんのうさい)が好んだ棚です。天板、中棚、地板は桐、四本柱と勝手付にはめられた板と足は桑の材でつくられます。勝手付の袖板に源氏香の図が二つ透かし彫りになっているところからこの名が付けられました。 源氏棚は、炉・風炉ともに用いられますが、逆勝手には使用しません。
吉野棚(よしのだな)
本阿弥光悦と親交のあった豪商・灰屋紹益の妻、吉野太夫が愛用したといわれる「遺芳庵」の大円窓から意匠を用いた棚です。
桐材の春慶塗で、四本柱には面皮付きの吉野丸太が用いられ、客付には円窓があいています。圓能斎が好まれた棚で、炉・風炉ともに用いられています。勝手付には風炉の時季は葭戸、炉の時季は障子がはまるようになっています。
富貴棚(ふうきだな)
坐忘斎が好んだとされる棚です。会津桐、竹四本柱の二重棚で、雲脚がついています。茶席の中で光の取り入れ方を意識した意匠となっており、随所に工夫がみられ、金銀の色紙形の箔が用いられています。中棚には金を上に、地板には銀を上にして張られており、また天板、地板には幕板が施されています。
地板の幕板は香狭間透かし形で山を高くしているところが特徴です。炉・風炉ともに用いられます。
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。