茶の湯に使われる工芸~木工芸 ~ 茶道の知識
茶の湯に使われる工芸~木工芸 ~ 茶道の知識
豊富な樹木に恵まれた日本では、身近に手に入る木や竹、籐などを木工芸品として、建築調度品や家具、食器、文房具などの生活用品や、楽器、仏具など、あらゆる場面で利用してきました。
中国や朝鮮から、金属や石の文化とともに渡来した仏像を、日本では木を素材として模倣し、独自の木工芸として開花していきました。
鎌倉・室町時代には武家文化、江戸時代には豊かな町人文化が発達しましたが、そんな時代の中で、簡素な美を求めた茶道文化によって木工芸の技法も昇華し、木工芸の各分野にも名匠が現れ、日本の工芸の重要な一部門として木工芸が認められるようになりました。
木工芸の主な手法 ~ 茶道の知識
木工芸には大別して以下のような技法があり、いずれも長期にわたる入念な工程を経て、素材の特色を生かした制作が行われています。
指物(さしもの)
釘などの接合道具を一切使わず、板状の木と木を組み合わせて家具・建具・調度品などを作る技術。
刳物(くりもの)
一木の素材を刳り、刀、鑿(のみ)、鉋(かんな)などを使って成形する技術。皿や盆などをつくる際に用いられる。
挽物(ひきもの)
大まかな木取した素材を轆轤など旋盤に固定し、刃物を当てて丸みを作って成形する技術。
曲物(まげもの)
薄く加工した板材を熱湯で処理し、円形に曲げ、底をはめ込む技術。茶器、弁当箱などをつくる際に用いられる。
彫物(ほりもの)
木の表面に文様を彫り込んだり、異なった素材を充填する技法。
木象嵌(もくぞうがん)
数々の色合いを持つ天然木材をそのままの色で用い、絵画や図案をはめ込み、天然の色を生かし表現した技法。
寄木
色々な種類の木を組合わせて平面に張る。 木画 木象嵌と寄木を組み合わせて文様を描く技法。 木目染(もくめぞめ) 立木に顔料を注入して木目に色をつけ、伐採して加工する。
茶道に使われる木工芸品 ~ 茶道の知識
茶の湯でも歴史的風土、文物を背景として、上記の多様な技法を駆使し、棚、卓、水指、建水、風炉先、薄茶入など、表情豊かな作品がつくられてきました。
竹工芸では、縄み組みなどの技法を用いて、花入、棚、茶杓、茶筅、柄杓、棗、蓋置、提藍などがつくられています。
籐は日本では自生していなかったため、籐を使った工芸品のほとんどが東南アジアから輸入品で、主な技法は編み組みです。茶道具としては花入のほか、茶箱、菓子器などの一部に籐製品を利用し、中には東南アジアから輸入した日常生活用品をそのまま茶道具として使用しているものもみられます。