炭手前~炭の種類 ~ 茶道の知識
炭手前~炭の種類 ~ 茶道の知識
日本では炭は有史以前から利用していた記録があり、炭窯による製炭は平安時代初期には行われていたとされています。
炭窯法でつくられる墨は、炭化したあとの冷却方式により、「黒炭」と「白炭」に分けられます。白炭の代表的なものが備長炭ですが、茶の湯で用いる炭は黒炭に分類されるものです。
炭手前は、茶席・茶会で湯を沸かす順序を一つの形式としたもので、その湯を沸かすために必要な炭を「道具炭」といいます。
古来、炭道具は池田炭が最上のものとされてきました。池田炭の池田の名称は、現在の大阪府池田市を指していますが、これは池田産の炭ではなく、能勢の奥にある多田庄一庫で焼かれたものが池田に集められたのでこのように称されたそうです。
池田炭は、切り口が菊の花を思わせることから、「菊炭」と呼ばれて称されてきました。 その他の茶の湯の炭としては、京都の小野炭、鞍馬炭、関東の佐倉の炭も有名でした。
道具炭の名称 ~ 茶道の知識
炭手前に使用する炭「道具炭」にはそれぞれ名称や用途があり、また、風炉用、炉用で寸法に違いがあります。風炉用の方が、炉用より小ぶりになります。
役割や用途から付けられた枕炭、点炭、香合台、形状から名付けられた管炭、毬打(ぎっちょ)などがあります。その他、つつじや椿などの枝でつくる枝炭は、石灰などで白く塗るので、白炭とも呼ばれます。
炭の組み方は、流派によって大きく異なりますが、様々な炭を風炉と炉、初炭、後炭などに応じて炭斗に組合せて用います。
炭手前の炭は、細かい粉が付いていると、火の粉となって席中に飛びますので、あらかじめ水や湯で洗っておきます。
胴炭(どうずみ)
道具炭の中で最も大きく、初炭手前のときだけ使う。
風炉 四寸(約12cm)
炉 五寸(約15cm)
丸管炭(まるくだずみ)
管状をしていることころから、この名称が付いた。長さは胴炭と同じだが、細いもの。
風炉 四寸(約12cm)
炉 五寸(約15cm)
割管炭(わりくだずみ)
丸管炭を縦半分に割ったもの。
風炉 四寸(約12cm)
炉 五寸(約15cm)
丸毬打(まるぎっちょ)
毬打とは正月に使われる子どもの玩具で、毬を打つ長柄の槌のことで、その形状に見立てて称された。胴炭より細く、長さは半分となる。
風炉 二寸(約6cm)
炉 二寸五分(約7.5cm)
割毬打(わりぎっちょ)
丸毬打を縦半分に割ったもの。
風炉 二寸(約6cm)
炉 二寸五分(約7.5cm)
点炭(てんずみ)
炭手前の際、最後につぐ炭。文章の最後に打つ句点「。」になぞられてその名が付けられた。長さは毬打と同じだが細いもの。
風炉 二寸(約6cm)
炉 二寸五分(約7.5cm)
枕炭(まくらずみ)
炭斗の底に置いて、他の炭の枕とする炭。通常は、割毬打の割り口を下にして置き、他の炭をとりやすくする。枕としての役割をし、風炉や炉につがれることのない炭。
風炉 二寸(約6cm)
炉 二寸五分(約7.5cm)
香合台(こうごうだい)
炭斗に香合を仕組むときに使う炭。長さは丸毬打であるが、炭斗や香合の大きさによって太さを選ぶ。
風炉 二寸(約6cm)
炉 二寸五分(約7.5cm)
枝炭(えだずみ)
つつじや椿などの枝をそのまま焼いたもの。石灰や胡粉で白く塗られ、白炭、化粧炭ともいう。
炭をついだときの景色として、また火移りを早くする導火炭として用いる。
風炉 五寸(約15cm)
炉 六寸(約18cm)
輪胴(わどう)
後炭手前のときだけ、胴炭の代わりに用いる。胴炭の半分の長さで、太さは胴炭より太いものを使うことが多い。
風炉 一寸五分(約4.5cm)
炉 二寸(約6cm)