炭道具~灰の種類 ~ 茶道の知識
炭道具 ~ 灰の種類 ~ 茶道の知識
灰は、草・木・動物などを燃やしたあとに残る物質ですが、風炉や炉、また火入や香炉、火鉢などに使うなど、茶事、茶会、稽古など茶道において常に重要な役割を果たします。
茶道の灰の種類について
窯より出たままの灰(洗っていない灰)を生灰といいます。茶道での灰は、この生灰を洗い、用途別に仕立てます。茶道の灰には、風炉に用いる風炉灰、藤灰、藁灰、炉に用いる炉灰、湿し灰などがあります。
いずれの灰にも、日ごろの丹精が表れるとされ、見事に整った灰形は、それだけで客を迎える亭主の心のすべてを表現しているといわれています。
風炉灰
生灰を細かい篩(ふるい)にかけ、水を加えて撹拌し、屑を取り除きます。再び水を入れ、沈殿した細かい灰を乾燥させて絹篩にかけたものが風炉灰です。 風炉灰の特徴は、粒子が細かくなめらかなことで、灰匙を軽く乗せたり、引いたりしたときでも線が付かずに柔らかく形づけることができる灰で、風炉のほか、香炉や火入にも用いられます。ふくさ灰ともいいます。
藤灰
樹皮を剥いだ藤を焼いたもので、化粧灰ともいいます。 風炉の蒔灰に用い、土風炉の灰形を仕上げて、坎の卦を切ったあと、最後に少量蒔きます。
藁灰
名残の欠風炉などに用いられます。稲藁の太くて芯が固い、丸みを帯びた真直ぐなものを選び、 塩水に浸して水気を切り、焙烙(ほうらく)などで焼いたもので、二文字押切の灰型のうえに切りそろえて並べます。
炉灰
炉の下地灰で、灰汁をぬいて蓄えたものです。
湿し灰
炉灰に番茶の煮汁をかけて色をつけ、褐色にしたものです。 蓄えた灰に湿り気を与えたもので、火の熾りをよくし、風情が加わるので、絽の灰の仕上げや炉の薪灰に用いられます。
蒔灰について
蒔灰は、形を整えた風炉灰の上に景色をつけるために蒔く白い化粧灰のことで、これは伝説によれば、千利休が由比ヶ浜の景色を風炉中に写したという説や、千利休が有馬の灰形山に振りかかる雪の風情を写したという説など諸説があります。酷暑は多めに、涼しい日は少なめと調整します。 炉には、炉中の灰を整えた後、湿し灰を全体にまんべんなく蒔きます。
茶会・茶事ではあまり早くに灰を蒔くと乾いてしまうので、席入り直前に蒔きます。
その他の灰
手炙りの火鉢には、縄灰、籾灰などが用いられます。
縄灰…稲藁をなった縄を燃やしたもの
籾灰…籾殻を燻べてすくったもの
※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。