茶道具の袱紗について ~ 茶道の知識
茶道具の袱紗について ~ 茶道の知識
袱紗(ふくさ)は、服紗・帛紗とも表記され、茶道のお稽古では必ず持参する基本の道具のひとつです。
袱紗の材質は絹がほとんどですが、煎茶道では木綿のものが使われることもあります。
袱紗には、主に二つに分けられます。
使い袱紗…点前で道具を清めたり、釜の蓋をとるときに使われます。使い袱紗の布地は塩瀬を用い、主に、女性は朱色、男性は紫色を使います。
出し袱紗…濃茶点前の時に茶碗に添えて出すときに使われます。古代裂や名物裂や、その写しの緞子金襴、紹巴(しょうは)間道などを仕立てて使います。塩瀬に模様を染めた染め袱紗を使う場合もあります。
袱紗の基本の扱い方 ~ 茶道の知識
袱紗は、点前中は必ず帯につけておき、薄茶器や茶杓を清めるときや、釜の蓋をとるときなどに使い、客も必ず懐紙とともに懐中します。
【袱紗のたたみ方】
1. 布端が縫い目ではなく、輪になっている方を右にして、畳の上で平らに広げ、左の編を持ち、縦半分に折ります(左半分が上に重なります)。
2. 下の方を持ち、下半分が上半分に重なるように折ります。
3. 普段は、2の状態でしまっておきますが、懐中するときは、さらに縦半分におります。畳の上でなく、手の上で、右半分が左半分に重なるように折ります。
4. 輪になっている方を下にして懐に入れます。
【袱紗のつけ方】
お客を迎える亭主が袱紗をつけますが、男女でつけ方が異なり、女性は帯の上から、男性は帯の下から挟み込みます。
1. たたんだ袱紗の右上の角を右手でとります。
2. 右手を上手にして袱紗を縦にし、下の角を左手で持ちます。
3. 2で三角の形になった袱紗を横にして、向こう側へ二つに折ります。
4. 両端を左手でまとめて持ち、左手で帯の左側に上から挟みます。男性は帯の下から挟みます。挟んだ袱紗がだらりとならないように気を付け、下の辺が、帯と水平になるように形よくつけましょう。
【袱紗のさばき方】
茶道具を清めるために、服紗を折り畳むことを「さばく」といいます。美しい所作のひとつとされており、手の位置や指の揃え方にも気を配り、洗練された動きを身に付けましょう。
1. 左手で、上記でつけた帯につけた袱紗の下の端を持ちます。
2. 下から三分の二くらいのところを折り上げ、さらにその半分を下にして折り返し、重なり全体を持ち、帯から抜き取ります。
3. 左の親指を上にして持ち、右手で上の端をとります。
4. 左手を一度袱紗から離し、左手で下の端を持ちます。
5. 袱紗を横にして、左手の親指でみぞをつくり、少しゆるめてから、左右に引いて「ポン」と音をさせます(この一連の所作を「ちり打ち」といいます)。
6. 左膝の上で右手を上にして袱紗を縦にし、左手を話します。
7. 左手の親指の付け根で袱紗の中央を手前から挟むようにして向こう側に三分の一折り、次に、四本指で向こうから手前に三分の一折ります。
8. 左手の掌を上に向けながら、親指を中心にして二つに折ります。
9. 左手の小指を中心に、正方形になるように右端を下に折ります。
10. 左手の四本指を抜いて、残りの端をさらに下に折ります。
11. 左手の親指も抜いて、四角に整えます。
【薄茶器を袱紗で清める】
1. 上記11の状態から、薄茶器を拭くときはさらに向こう側に折り、膝の上で右手に持ちます。
2. 左手に棗などの薄茶器をとり、蓋の上の部分(甲)の向こうを左から右へ拭きます。
3. 次ぎに手前を左から、右へ拭き、袱紗を膝に戻ります。
【茶杓を袱紗で清める】
1. さばき直した袱紗で茶杓を清める際は、右手で茶杓の切止め近くを持ち、膝上中央で、袱紗の中央にのせます。
2. 袱紗を二つに折って、一度目は茶杓の表裏を手元からかい先に向かって拭きます。
3. かい先まで拭いたら、そのまま戻り、二度目は左手をしたにして回して、茶杓の側面を挟み、手元から、かい先まで拭き、そのまま戻ります。
4. 三度目は、一度目のように茶杓の裏表をかい先まで拭きます。
5. かい先まで拭いたら、袱紗の横から茶杓を抜いて膝に戻します。
袱紗で清めた茶杓は、点前の初めでは、すぐ薄茶器の上に置きます。
点前の終りではかい先までふいたら、袱紗で挟んだまま右手を下から持ちかえて茶碗に伏せておきます。
注:ここでの袱紗に関する記載は、主に表千家流に準じたものです。