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香合について ~ 茶道の知識

2015/11/25

香合について ~ 茶道の知識


香合とは、香を収納する蓋付きの小さな容器で、茶道具の一種です。

香合は、茶器の中では、小器ながら、古来、茶人たちに珍重されてきました。

香合は、茶道をされていない方には、馴染が薄く、香炉と香合を混同されてしまう場合もあるようですが、簡単にいえば「香炉」はお香を焚く道具で、「香合」は、お香を入れておく容器になります。


中立ちを伴う正式の茶事では、初座と後座でそれぞれ炭手前をしますが、この際に香を焚くためのお香を入れる器が、香合です。香を焚くことによって心身を清め、席中の空気を清め、炭の臭気を消す効果も勘案されています。

香合の中には香を3個入れておき、その内2個を炭の近くに落とし入れ、薫じさせ、残り1個はそのまま拝見に回すことが多いそうです。

炭手前を略す場合は、古帛紗や紙釜敷などにのせて、床の間や待合などに香合が荘られます。



香合の種類 ~ 茶道の知識


香と香合は、風炉の季節と炉の季節で使い分けられます。


風炉の季節(5月〜10月)…漆器や木地の香合に伽羅や白檀などの香木が使われます。

炉の季節(11月〜4月)…陶磁器の香合に、粉末の香料を蜜などで練り合わせた練合が使われます。練合を使う際は、椿の葉を敷いて用います。

風炉・炉の兼用…季節問わず蛤や月日貝などの貝類、砂張などの金属類が使われます。


風炉用の香合は、 堆朱(ついしゅ)、 堆黒(ついこく)、紅花緑葉、螺鈿などの唐物と、蒔絵のあるものや、鎌倉彫、木地などの和物に大別されます。 炉用の香合は、唐物はもとより、高麗物、宋胡録、阿蘭陀(オランダ)、南蛮まで実に多彩にあり、和物も各地の国焼や御庭焼、樂焼、また仁清、乾山にも作品が残されています。


また、「形物香合」という称される型を用いて成形した陶磁器の香合は茶人たちに人気の高い香合として知られます。形物香合は、型でつくられている陶磁器の香合、あるいは型づくり以外でも同種多作可能なものをいいます。

中国の景徳鎮や漳州窯において、型を用い作られた小さな蓋物を、香の器に見立てたのは先代の茶人たちで、その作行きや種類の多さを楽しみ、江戸時代には、「形物香合相撲」の番付表が発表されました。

この番付表は、染付、交趾、青磁、祥瑞、呉須などの唐物や、黄瀬戸、織部、志野、伊賀、信楽などの和物など、200種以上の形物香合が、相撲と同様、東西に分けられて番付されています。


その他、香道具の一種に「重香合」といわれるものがあります。この重香合は、三重の箱になっており、上段に香包み、中段に銀葉、下の段には焚きがらを入れるようになっています。

木地、塗物、陶磁器があり、丸形や四方、六角などの形があります。茶の湯では香付花月、且座之式、三友之式、仙遊之式などに重香合が用いられます。


香合は、歴代家元の好み物も多く、茶道具の中でも香合は、素材・意匠ともに最も多様とされるのもうなずけます。

また、本来、香合は茶道具のひとつですが、そのデザイン性の高さから、茶人だけでなく、一般の方々も観賞用として楽しんでいる方も多く、骨董品としての蒐集アイテムとしても人気の高いお品としても知られています。


香合の主な作品…牡丹彫木漆塗大香合(重要文化財・室町時代)、月日貝蒔絵香合(江戸時代)、堆朱籠形香合(中国・明中期)、金地獅子蒔絵香合(明治~大正時代 漆工/辻村松華)など



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