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茶杓の銘 ~ 茶道の知識

2015/11/17

茶杓の銘 ~ 茶道の知識


銘とは? ~ 茶道の知識

「銘」とは、記すこと、書き付けることをいいます。「銘」という字は、金という偏と、名という旁(つくり)で構成され、そもそもは金属に記すとか書き付けることを意味し、器ものやお茶、お酒、お菓子といったものに付けられた特有の名称です。

茶道具では、14世紀頃から茶壺に銘が付けられ始めました。

同種・同形のものが多数ある茶壺や茶入、天目茶碗などに所有者の名を付けて区別するのも銘の一種ですが、本来は「優れた」茶道具が与える独自の美の印象を相応しい言葉で置き換えることです。


銘が付けられることにより、その茶道具が一人の所有者に留まらず、拝領されたり、譲渡されるなどして、人々や家々に伝来していく経緯が発生します。

茶杓は古い書物では茶匙とも書かれ、利休以前の茶の湯の草創期には、単に茶を掬い入れる用具であり、銘を付ける必要性がありませんでした。

古くは「茶杓の名字」と称していたこともあり、それぞれの茶杓を収める筒に署名のみが書付けられていました。


利休登場後は、利休崇拝のあまり、利休が直に手を下した茶杓を懇望する茶人達が大勢現れ、「贈り筒」という、茶杓に添った筒に、贈り主(茶杓を削った人)が相手の名宛を描いた宛名筒が登場しました。

利休の茶杓の銘にまつわる話としては、豊臣秀吉が利休に切腹を命じた際、 死ぬ間際に削った茶杓に「泪」という銘を付け、最後の茶会で使用したのは有名な話として残っています。


利休没後に、銘が付けられた茶杓が数多く登場してくるのは、元伯宗旦からです。文字的な銘が様々生まれ、小堀遠州は王朝趣味から古歌を銘として、藤村庸軒には漢文学趣味から誌銘が(漢詩銘)が多くみられます。


茶杓の銘 ~ 茶道の知識

茶杓には、茶杓を入れるための竹の筒「共筒」が付いています。共筒には茶杓の作者の署名や、銘が書かれていますが、この銘には茶杓を削った人の感性や、その人自身を表すといわれています。

茶杓の銘は、季節を表す季語や、和歌銘・禅語銘・風流銘などがあります。 ここでは、12ヶ月を通してどの月にどんな銘が多く使われるのかご紹介します。


睦月(1月)…初春、若水、松風、曙、朝日、松、高砂

如月(2月)…鶯笛、下萌、春暁、春霞、一陽来復

弥生(3月)…春風、朧月、東雲、帰雁、花車、花暦

卯月(4月)…嵐山、春眠、花冷、八重桜、吉野山

皐月(5月)…薫風、五月雨、早苗、緑風、早乙女

水無月(6月)…瀑布、緑風、涼一味、空梅雨、紫陽花

文月(7月)…夏木立、夕凪、残月、山清水

葉月(8月)…蝉時雨、積雲、撫子、流星、秋風

長月(9月)…虫の音、秋の声、秋の水、案山子、藤袴

神無月(10月)…村時雨、錦秋、嵯峨野、里の秋、豊年、山籠り

霜月(11月)…山の錦、落穂、野菊、小倉山

師走(12月)…冬籠、冬木立、短日、年の瀬 等





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