濃茶と薄茶 ~ 茶道の知識
濃茶と薄茶
茶道に使われるお茶は抹茶ですが、濃茶(こいちゃ)と薄茶(うすちゃ)があります。
抹茶はチャノキの葉を粉末にしたもので、濃茶も薄茶も製法には基本的に変わりはありませんが、濃茶の方が抹茶の濃度が高く、濃緑色で、薄茶は鮮やかな青緑色の抹茶です。
濃茶のお点前は格式が高いものとされ、薄茶は比較的気軽なお点前となります。
薄茶は「点てる」といい、濃茶は「練る」という違いもありますが、本来のお茶事では、濃茶席と薄茶席の両方があるのが正式とされています。
薄茶の作法
薄茶を正式な茶事で飲む場合は、両隣と亭主に挨拶をし、一口飲んで、結構の会釈を亭主にするのが礼儀となっていますが、大寄せ茶会では、次隣の客に対してのみ「お先に頂戴します」と挨拶します。
薄茶の茶碗の扱いは流儀により、多少の差はありますが、茶碗を右手で取り上げて、左手の掌に載せ、90度ほど回して正面を下げ、右手の親指を開いて茶碗を安定させて飲みます。
飲み終えたら、右手の親指と人差し指の先で茶碗の飲み口をすっと拭い、指先を懐紙で拭いてから、茶碗の正面をもとに戻して下に置きます。
薄茶の席では、特別な場合を除き、各自飲んだ茶碗を自分だけ拝見して、給仕が取りにきた時に正面を向こうにして回して返します。
濃茶の作法
上質の抹茶を緩く練った濃茶は、一碗の茶を3人から5人くらいで飲み回しにします。亭主から「何名様で召し上がってください」と指定があるのが通常で、連客を考えながら、三口半ほどで飲みます。
濃茶を飲む際は、服紗を広げてその上に茶碗をのせて口に運びます。濃茶は飲み回しにするので、飲口は懐紙などで2,3度拭い、茶碗の正面をもとに戻して次客に送ります。
正客が濃茶を一口飲んだ時に、亭主から「つまりすぎましたでしょうか」等、茶を練った時の加減を尋ねられますので、正客は「結構でございます」といいながら会釈を返して、茶を飲み続けます。
次客に茶碗がわたって一口飲んだ頃に、今度は正客から亭主に「大変結構なお茶でございましたが、お茶銘は」と尋ねます。
濃茶のお点前では、茶が点つまでは、静粛に点前に注目しますが、茶銘の挨拶が終わったら、床の飾りや道具の取り合わせのことなど、主客のやり取りを行います。