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真形とは ~ 茶道の知識

2015/10/30

真形とはなにか


真形とは茶の湯釜の形姿の名の一つです。茶の湯といわれるように茶道において釜は不可欠な存在で、古くから茶人から大切にされてきました。

茶道の釜は、口、胴、底、蓋から構成され、胴では地肌、地紋、鐶、羽などが鑑賞の対象となります。


真形とは~釜の形状と名称

釜はもともと湯を沸かす厨房道具でしたが、鎌倉時代に入り、茶の湯が隆盛するとともに、喫茶専用の茶の湯釜がつくられるようになり、鎌倉時代末期~室町時代初期に現在の釜の原型が確立したと伝わっています。

釜の形状の種類は非常に多く、茶人の好みよる名や、所持者の名を冠したもの、釜の形状による名、地紋から称するものなど、釜の名称も多岐に渡っています。


主な釜の形状の名には、真形釜、阿弥陀堂釜、責紐釜、万代屋釜、尻張釜、車軸釜、尾垂釜などがあります。

中でも真形(しんなり) の形姿の茶の湯釜は、茶の湯の釜で最も基本的な形です。


真形の形姿の釜は、口はやや内側に繰り込んだ繰口で、撫肩で、胴の中央に鬼面鐶付が付き、胴の下寄りにひさしのような羽をめぐらした釜です。


真形の形姿の釜は、厨房以外で、茶席で湯を煮だすための風炉に掛ける釜として、筑前芦屋(現:福岡県遠賀郡芦屋)で、鎌倉時代に創案されたと考えられています。

真形が多くみられる芦屋釜は、室町時代末期に全盛を迎えましたが、桃山時代にはいって衰退し、江戸時代初期には絶えました。


真形とは~形姿の変化

真形の茶釜は、もともと炊飯用に用いられていた平釜を、風炉に掛けるために背を高くし、胴まわりに羽をめぐらした羽釜でしたが、やがて、侘茶の発展により、形の大きな真形の釜は風炉に用いらず、炉釜として用いられるようになりました。

千利休の時代には、炉の寸法が小さくなったため、炉に合わせて羽を落として羽落釜として使うように、変化していきました。


芦屋釜の古作には真形が多く、国の重要文化財に指定されている現存の真形釜には、東京国立博物館所蔵の芦屋浜松図真形釜、九州国立博物館所蔵の芦屋楓流水真形釜などがあります。


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