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9代 石翁宗室(不見斎) 1746-1801
石翁宗室の生涯
石翁宗室は、裏千家8代目一燈宗室の長男として1746年に生まれ、父一燈宗室が亡くなったのを機に26歳で9代目を継ぎます。
石翁宗室の幼名は粂三郎、名は玄室・宗室・石翁、別号に寒翁・洛北閑人などがあり、また加賀藩前田家、伊予松山藩久松家に出仕していました。
父の一燈宗室に茶道を学んだ石翁宗室ですが、その才能は幼少の頃から既に発揮され周囲を驚かせたそうです。
石翁宗室が初めて行なった仕事は、父一橙宗室が行なったとされる宗旦百回忌の茶会で花を生けた事でした。
宗旦百回忌を行なった時、石翁宗室は当時の数えで13歳、現代で言うと11歳という若い年齢にも関わらず大きな茶会で美術的感性を見せつけ周囲を驚かせたと言われています。
長い間裏千家の9代目を守り続け卓越した才能で数多く貢献を果たした石翁宗室ですが、最大の貢献と言われているのが天明の大火の復興です。
天明の大火とは天明8年に京都で起こった火事の事で、出火の場所から団栗焼け、申年の大火とも呼ばれました。
その被害は凄まじく、応仁の乱の戦火を更に上回り、京都で発生した火事の中で史上最大規模となりました。
この火災により、表千家、裏千家ともに屋敷が焼失してしまいますが、石翁宗室はすぐに復興を果たし翌年には建物の再建、利休二百回忌を成功させます。
また、利休二百回忌の茶会では、石翁宗室の長男として生まれた裏千家10代目柏叟宗室が花を生けたと言われ、息子に向けた期待の大きさが伺えます。
幼くして才能を兼ね備えた石翁宗室は、55歳という年齢でこの世を去る事となりました。
石翁宗室の好み物
石翁宗室の好んだ作品は、利休流の侘びと質実を兼ね備えた品物と軽妙で艶やかな品物にわかれたそうです。
利休流の作品で有名なのが、八角香合と呼ばれる品物で、石翁宗室が茶道に広めた禅の言葉から着想されたと言われています。
その他には、松ノ木香合と呼ばれる作品もあり、苫屋形とも呼ばれ多くの写しなどが存在しました。
軽妙な作品で有名なのが赤楽のつぼつぼ茶碗や同心円を描く独楽様の棗や盆などの品物で、数多く残されています