夜咄の茶事に使用する道具類を総称してそう呼びます。
夜咄の茶事とは冬、12月~2月頃までの寒中の冬季に行います。
日没から夜間の間に行う為、茶室や露地などで明かりを灯す
灯火を用いて催す茶事です。
灯火の為に、短檠(たんけい)・竹檠(ちくけい)・
灯台(とうだい)・雀瓦(すずめがわら)・
手燭(てしょく)・膳燭(ぜんしょく)・小灯(ことぼし)・
露地行灯(ろじあんどん)・座敷行燈(ざしきあんどん)・
和蝋燭などの道具を使用します。
短檠や竹檠や灯台で茶室を使い、手燭は点前や拝見の時に用います。
夜咄道具の主な種類
:手燭・・燭台に柄を付けて持ち歩けるようにした事から「手で持てる燭台」という意味で手燭と呼ばれるようになりました。
その昔、まだ電気などがなかった時代に、夜家の中を歩く際に明かりとして用いたことが始まりとされ、現在でいう懐中電灯のような役割だったと言われています。
また、暁の茶事や夜咄などの際に、暗い足元を明るく照らし歩きやすくする為に用いられ、利休好みは鉄製で黒漆が塗られた作品で、宗旦好みや朱の漆が塗られた作品と言われています。
:膳燭・・懐石などの際に、膳の上を明るくする為に置かれ、膳の間に置く燭台という意味で膳燭と呼ばれています。好みや形も様々で素材は金属、陶磁器、竹製など数多くの作品が作られています。
:小灯・・表千家などでは手前用として用いられている小灯は、数寄屋蝋燭を1本立てる事が出来る小さな燭台です。様々な茶人に愛されていた事でも知られ、表千家七代目如心斎好は青楽、表千家九代目の曠叔宗左は鐘製、表千家十二代目の惺斎宗左は黄瀬戸を好んで使っていたと言われています。
:足元行灯・・暗い露地などを歩く際、手燭と燈籠などの明かりを頼りにしますがそれだけだと大人数では歩きにくかったり、露地の広さによって手燭の明かりが届かないなどの場合には、足元行灯を使います。
四方の台に対角に竹の提手が付いて、裾が広がった長方形の枠に障子を張っているのが特徴です。
:座敷行灯・・茶席で用いる座敷行灯は、杉地で作られた四方の台に対角の竹提手がつき、やや裾が広がった立方体の枠に障子を貼った形が特徴です。
:短檠・・柱に火皿を置く為の金輪が付き、背が低いのが特徴で四畳半以上の広間で用いられます。大茶人の利休も短檠を好み総体黒塗の作品を主に使用していたと言われています。
:竹檠・・竹で作られた短檠を竹檠と呼び、杉板の上に乗せ小間などで用いられます。
竹筒の上部に凹んだ形の切り込みが入り、そこに舌と呼ばれる竹片を嵌め込んだ形が特徴となっています。
舌と呼ばれる部分は必要なのかと思われるかもしれませんが、灯芯の燃え殼が自然に舌の部分に落ちるという構造の為とても必要な部分と言えます。
:箱炭斗・・水屋道具の炭斗は様々ありますが、その中でも箱型で取手の付いた炭斗を箱炭斗と呼んでいます。主に茶席などで炉や風炉の火を補足する炭斗として用いられ、夜咄の茶事では止め灰に用いられました。
箱炭斗は利休も好んだとされ、桑木地で少し上に広がった形をしている箱炭斗を好んで使っていたと言われています。
:手焙・・夜咄の際暖を取るための小さな火鉢で、手を焙るような様子から手焙と呼ばれました。手焙の元祖と言われているのは利休形と言われる物で、利休が釜師の善五郎に作らせた物が始まりと言われています。