水屋道具とはお点前や茶事の準備に必要な道具などを総称して「水屋道具」といいます。
茶室に付随しお点前や茶事の準備や器物を片付けたりする場所を「水屋」といい、「水遣」・「水舎」・「水谷」とも書き
「勝手」ともいいます。
水屋は簡単な物として移動させることができる置水屋、
茶室の壁につけられた水屋洞庫(みずやどうこ)
などがあります。
水屋は流儀や好み、茶室の大きさや茶道口や
給仕口の位置や露地との関係も考えて配置される為、
様式や大きさや配置は一定ではありません。
水屋は茶室が成立しておらず、「点茶する場所」と「喫茶する場所」が分離していた
会所・書院茶においては、必要な道具を配列しておく「茶湯棚」が使われていました。
茶室が成立した後も、千利休より以前には水屋という独立した場所はなく、
書院の一部や縁側などに、器物を並べる棚を置いて使っていたと考えられています。
千利休の水屋は、杉のヌメ板(通板)、簀棚、二重小棚を仕付け、
大きな水屋桶を据えたり、水張口などを設ける為に、ヌメ板、簀棚を途中で切った
形の物でしたが、表千家八世啐啄斎(1744~1808)の頃から
棚は途中で切らずに通して造られる様になりました。
水屋道具としては、水桶(みずおけ)・水屋瓶(水屋甕、水屋壷、水甕、みずやかめ)・
掻器(かいき)・水漉(みずこし)・茶巾洗(ちゃきんあらい)・薬缶(やかん)・片口(かたくち)・
大口(おおぐち)・箱炭斗(はこすみとり)・釜据(かますえ)・板釜敷(いたかましき・
掴羽(つかみはね)・火箸(ひばし)・水屋鐶(みずやかん)・釜洗(かまあらい)・
火吹竹(ひふきたけ)・火起(ひおこし)・台十能(台什能、だいじゅうのう)・底取(そことり)・
半田(はんだ)・座掃(ざはき)・掃込(はきこみ)・塵取(ちりとり)・火消壷(ひけしつぼ)・
炭切溜(すみきりため)・炭切形(すいきりがた)・茶掃箱(ちゃはきばこ)・茶匙(さひ)・
小羽箒(こはぼうき)・茶漏斗(ちゃろうと)・茶篩(ちゃぶるい)・挽溜(ひきため)・
茶通箱(さつうばこ)・茶臼(ちゃうす)・挽木箱(ひききばこ)・茶巾(ちゃきん)・
手拭(てぬぐい)・雑巾(ぞうきん)・掛灯台(かけとうだい)・花切溜(はなきりため)・
花台(はなだい)・花水次(はなみずつぎ)・小刀(こがたな)などがあります。
水屋道具の主な種類
・水屋柄杓、茶巾盥、水屋瓶、水桶、建水、薬缶、茶篩、水漉、片口、大口など
主な作家
・十三代金谷五良三郎(建水)、金重素山(水屋瓶)、玉川堂(薬缶)など