廃藩以後高取焼宗家の再興は、高取焼中興の祖とされる
高取静山によるものである。静山は、本名を静といい
高取焼宗家の長女として1907年(明治40年)に鼓釜床で生まれ、
1926年(大正14年)勉強のため上京、日本大学で夜間に国文学を学んだ。
後に東京で結婚し、3人の子供を育てていたとき、
祖父の閉じた高取焼窯を再興するため父十代富基に呼ばれ、
東京と九州を往復しながら手助けをすることになる。
しかし父富基は初個展を前にして心労のため急逝し、
いつしか戦争の波が窯の火を消し去る。
戦後、静山は、ただ一人の直系子孫として?取焼宗家の再興に尽力し、
1958年(昭和33年)5月5日、高取焼宗家再興の初窯開きが行われる。
静山50歳のときである。1961年(昭和36年)、
第一回目の個展が三越本店で開かれる。
これを機に遠州流宗家十一代宗明宗匠に「静山」と号を頂き、
?取焼十一代 ?取静山が誕生する。