今回、いわの美術がお買取したお品物は交趾数茶碗です。
数茶碗とは大寄せの茶会の時に、水屋からお茶を点てて出す時に使用する同じ作りの茶碗の事です。
大寄せの茶会は一度に5名以上の客が茶室に入りますが、正客、次客は亭主が点てたお茶をその場で頂き、その後の客へは数茶碗を使って水屋から運びつけます。
また、数茶碗という言葉は数寄者(すきしゃ)や宗匠が数を限って焼かせる好みの茶碗の事もこう呼びますが、今回お買取した数茶碗は大寄せの茶会で使われるものでした。
共箱もあったのですが、マジックのようなもので書かれた箱書と、目立つシミがあった事があまり高く評価できませんでしたが、それなりの買取額となりました。
今回お買取した数茶碗は交趾と呼ばれる黄、紫、緑、青、白、などの細かい貫入の入る釉薬のかかった焼物の数茶碗でした。
この交趾という言葉は中国南部で生産された陶磁器の一種で、ベトナムのコーチシナ(交趾支那)との貿易で交趾船によりもたらされたことに由来し、日本でも盛んに写しが作られており、京焼で生産された色絵磁器全般の事も指す言葉となっています。
お買取した数茶碗も鮮やかな緑に富士山が描かれ、よく見ると細かい貫入が入っていました。
大寄せの茶会で使用する数茶碗は中古市場でも盛んに取引が行われており、いわの美術でも買取を行っています。
そのほとんどが10客一揃えとなっていますが、いわの美術では破損し、10客揃っていなくても、その分はマイナス評価となりますが買取を行っております。
特に数茶碗の査定で重要なのが、シミ、汚れ、欠け、カビ臭さなどで、有名作家の数茶碗であっても、コンディションが悪いと査定額は思ったほど高くなりません。
また、乾燥が不十分ですとカビが生えてしまい、長期間お茶などを入れたままにしておくとシミとなる事が多く、それを綺麗にしようとハイターに浸けてしまう方もいらっしゃいますが、ハイターの臭いは茶碗の奥に染み込んでしまいなかなか抜けず、場合によっては茶碗を傷めてしまいますので、絶対に行わないようにお願いします。
その他、数茶碗を含め茶道具のご売却をお考えであれば、いわの美術がいつでもご相談に乗りますので、まずはお電話、メールにてお気軽にお問合せ下さい。