今回、いわの美術がお買取したお品物は、熊谷光甫(くまがえこうほ)の茶入です。
共箱には上野焼肩衝茶入と書かれており、上野焼(あがのやき)とは福岡県田川郡香春町、福智町、大任町で焼かれている焼物です。
その歴史の始まりは江戸時代前期に細川忠興が小倉藩主となった際、朝鮮人陶工・尊楷(上野喜蔵)を招いて、豊前国上野に登り窯を築かせた事から始まりました。
上野焼は1983年に通産省(現・経産省)の指定伝統的工芸品となっており、他の陶器と比べると生地が薄く、軽量といった特徴があります。
お買取した熊谷光甫の上野焼肩衝茶入は象牙蓋で、お茶席で茶入、茶杓と一緒に拝見に出される仕覆も一緒になっているものでした。
仕覆は茶入をはじめ、薄茶器や茶碗などの道具を入れる袋で古代裂や名物裂で作られるのが一般的で、今回の仕覆には東南アジアや中国南部で織られている織物の間道(かんどう)が使われていました。
間道を茶入の仕覆として初めて茶の湯の席に用いたのは武野紹鴎といわれており、松屋久政の茶会記に紹鴎の茶会で「円座肩衝茶入」を間道の仕覆に入れたという記録が残されています。
こういった事から踏まえ、今回は高価買取で対応致しました。
熊谷光甫は使い甲斐のある生活陶器の中に自分の独自性が出ればと思いながら福岡県の山奥で作陶を続けており、日本伝統工芸展で活躍を見せています。
父親は上野焼(あがのやき)第15代窯元・熊谷紅陽の弟として知られている熊谷光峰です。
そのため、大学を卒業してから父親に師事し、分窯して熊谷光甫窯を築き独立を果たしています。
使い勝手の良さを追求し、量産品ではなく自分の色を反映させた作品は中古市場でも人気があり、茶道具では今回お買取した茶入をはじめ、茶碗、水指、香合などを手掛けており、いわの美術ではしっかりと評価して買取を行っております。
熊谷光甫の作品のご売却をお考えでしたら、熊谷光甫の作品買取実績を持ついわの美術にお任せ下さい。