今回いわの美術がお買取したお品物は本桑炉縁で、作者は上杉満樹(うえすぎまんじゅ)です。
上杉満樹は京都の満樹工房の当主が代々襲名している名前で、満樹工房の創業は明治時代という長い歴史を持っています。
満樹工房は初代・上杉峯吉、2代・上杉満、そして現当主である3代・上杉実と続き、現在は3代・上杉実とその長男を中心に家族経営で営んでいる小さな工房で、量産する事はできず、受注生産が主となっているようです。
代々指物が本業でしたが、それぞれが役割を分担し、漆器における木地工程、塗工程、蒔絵工程をふくめて一貫製作を行っています。
一貫製作の強みをいかし、細かな注文や部分的な修復・修理などにも柔軟に対応している事から、漆器界でも高く評価されており、その丁寧な仕事から古美術商や研究機関などから漆器修復依頼を数多く受けてきました。
そんな上杉満樹の本桑炉縁を今回はお買取したわけなのですが、お品物には目立った大きな傷などはなく、とても良い状態でお譲り頂きました。
共箱もしっかりと残っており、若干シミなどがありましたが、高い評価での買取となりました。
炉縁は炉壇の上にかける木枠の事で、大きく分けて木地縁と塗縁があり、木地の炉縁は一般的に小間に用いられ、塗縁は無地と蒔絵のものがあり、広間(四畳半以上)で使用されます。
今回、お買取した炉縁は木地の炉縁で桑を使用したものです。
炉縁には桑以外にも黒柿、縞柿、桜、紅梅、松、桐、杉などが使用され、皮付の丸太や鉄刀木(たがやさん)、社寺の古材といった特殊な木材が使われる事があります。
炉縁に使われている素材や手掛けた作家などによって買取額が変わってきますので、お問合せの際はしっかりと、炉縁の情報をお伝え下さい。
しかし、口頭では伝えるのが難しいと感じる方もいらっしゃるかと思いますので、そういった方はメールやオンライン査定に画像を添付してお問合せ下さい。