今回お買取致しましたのは、唐津焼中里隆の三島高脚盃です。
中里隆は、唐津焼 人間国宝 十二代中里太郎右衛門(無庵)の五男で、当代随一の人気作家です。 中里隆は、唐津だけにとどまらず、日本及び世界各地にて作陶活動を展開する野性味ある作風が特徴の作家です。
今回お買取した中里隆の作品はドットのような文様が洋風な雰囲気の醸し出している三島唐津の高脚盃です。 三島唐津は、轆轤をして、生乾きのうちに彫り等を入れ、その後、白化粧土をかけ、乾燥した後に白化粧土を剥ぐと、凹んだ部分の文様が浮き出ますが、買取の中里隆の三島高脚盃は、白化粧土と地の色がツートンカラーのようになっており、また、見込には刷毛目唐津の要素もみられる個性的な作品です。
見込の溜り部分には、銘にもある「LXX」が記されていますが、調べたところ、数字の「70」を意味し、現存する最古の旧約聖書の翻訳の一つ七十人訳聖書を示しているようです。どのような意味をこめてこの「LXX」という銘がつけられたのかはわかりませんが、いかにも個性派の中里隆らしい力強さと品格を感じる作品をお買取させていただきました。
唐津焼らしからぬ豪快奔放な野性味をもち、中里三兄弟の中でも、特異な存在といわれる中里隆。
いわの美術では、中里隆の作品買取も積極的に行っています。
中里隆の唐津は、唐津らしくない「野性味」「野蛮」「焼き締め」といった言葉がぴったりな作風が多く、その活動範囲は、日本各地のみならず、欧州、中近東、東南アジア、韓国など海外の窯跡の視察や、パリ・ニューヨークなどでの個展開催など、世界を股にかけた幅広い活躍をみせています。
また、仙人ともよばれる中里隆は、種子島へ渡り、熊野焼きを復興させ、その後独自の風合いを持つ唐津南蛮を生み出したことでも知られます。
喜寿を過ぎた現在でも中里隆は、世界各地の窯場を巡り、新しい表現を追求し続け、意欲的に作陶をしており、その日本人らしからぬ斬新な道具や土、釉薬の使い方をした作品は、市場でも高い評価と人気を得ています。
中里隆の現在の作品には「う」が刻まれていますので、買取査定のお問い合わせの際は、ご確認いただき、サイン部分と作品全体の写真、共箱などの付属品ございましたら、あわせてお写真をお撮りいただき、メールに添付してお送りいただければ、折り返しおおよその買取査定額のご案内をすることが可能となります。