今回は、渋草焼芳国舎の染付祥瑞紋水指をお買取しました。
染付の一種である祥瑞とは、日本の茶人の注文により、中国 明代末期に、景徳鎮の民窯で焼成された磁器とされています。祥瑞には、潤いのある精白の素地に、発色の美しい青が特徴で、丸紋のつなぎや、散らしの中に花鳥風月・人物・幾何学模様などを描いたものが多くみられます。
お買取した芳国舎の水指には、びっしりと蓋にまで、鮮烈なブルーの細かな祥瑞の特徴的な幾何学模様が施されています。 炉や風炉の火の「陽」に対して、水指の水は「陰」とされますが、陰を表現するかの如く、祥瑞の目にも鮮やかな細かな美しい紋が、素地の白からくっきりと描かれ、芳国舎の職人がひとつひとつ丹精こめて、手造り、手描きで仕上げた逸品です。
渋草焼芳国舎では、代々職人の技として引き継がれ、作家名ではなく、芳国舎として作品が作られるため、陶印や共箱の箱書などには作家名はありません。買取査定では、芳国舎の箱書・落款付の共箱とあわせて、高価買取させていただきました。
渋草焼は、飛騨高山のやきものです。飛騨といえば「飛騨の匠」とよばれるほど、名高い飛騨の家具、飛騨春慶塗、一位一刀彫など、昔から木を扱う腕のいい職人が多いことでも知られる土地柄です。こうしたことを背景に、京都や江戸の文化を取り入れながら、飛騨高山独特の質の高い職人文化が生まれました。
その飛騨高山の渋草の地に、1841年、飛騨郡代 豊田藤之進が尾張から陶工戸田柳造を招いて窯を開いたのが、渋草焼芳国舎の始まりです。苦心の末、渋草焼芳国舎は、磁器をつくることに成功し、数年後には九谷から画工を招き、飛騨赤絵、飛騨九谷と呼ばれる質の高い製品を生み出しました。
渋草焼芳国舎は、地元産の陶石を素地に使い、絵はすべて職人による手描きで、大量生産はしません。染付の藍絵に、赤・緑・黄などの上絵具で描く五彩の模様をあしらった絵付に人気があり、通い続ける有名人のファンも多いと聞きます。
いわの美術では、渋草焼芳国舎の作品の買取をしております。手放してもよいとお考えの渋草焼芳国舎の作品がございましたら、高価買取もしているいわの美術に是非ご相談ください。