写真のお買取致しましたお品は、大名物・唐物の初花写肩衝茶入です。
お買取した茶入れの作者は、千家十職 永楽善五郎(製陶所)へ入社し17年間の修行後、独立して陶若窯を開窯した能勢進です。
今回お買取の初花写肩衝茶入の原点ともいえる作品に、重要文化財 唐物肩衝茶入「初花」(徳川記念財団所蔵)があります。熱狂的な「茶道具」コレクターで知られた織田信長、豊臣秀吉、徳川家康ですが、この3人が受け継ぎ、愛したという茶入が「初花」肩衝茶入でした。
「初花」は、足利義政が天下の春にさきがけする初番の名花に例え、古今集の「くれなゐのはつ花ぞめの色深く思ひし心われ忘れめや」に因んで付けた銘であろうと「日本陶瓷史」に記されているそうです。また、この受け継がれた「初花」肩衝茶入は、徳川幕府が300年間、その貫禄を見せるために守本尊としたともいわれています。
お買取したる初花写肩衝茶入は、大名物茶入の再現に努め、形は端然として品格があり、奥ゆかしい光沢の流れ釉薬も美しい仕上がりとなっています。添えられた細丸竜鳥襷緞子裂仕服も茶入に添っていたものを再現したものとなっています。
さらに、お買取した茶入の蓋は、虫食いの牙蓋です。この虫食いの跡のある牙蓋は、侘びているとされ、珍重されています。
茶入は、濃茶を入れる容器で、薄茶の場合は薄茶器と称します。茶入は唐物と和物に大別され、他には東南アジア製の南蛮物と称されるものもあります。
唐物茶入は、他の唐物の茶道具と同様に、12世紀に伝わったもので、書院茶の時代にあっては最も重要視された器物とされています。唐物茶入は、器形により肩衝、茄子、大海などと分類されています。唐物茶入のうち、時代が古く、作も上手なものを特に漢作唐物といいます。
和物茶入は、美濃窯で焼かれた瀬戸茶入が始まりとされ、それは唐物茶入に倣ったものをつくったもので、14世紀ごろではないかといわれています。その後、桃山時代には、瀬戸独自の形態の茶入がつくられるようになり、江戸時代には唐物茶入に次ぐ声価を得るようになり、他の国焼茶入とは分けることが通例とされています。
また、茶入をいれておく仕服(仕覆)も茶席では、拝見の対象となり、何種類もの仕服を伴う名品が多くあるそうです。例えば、大名物「安国寺」肩衝茶入には、11種類の仕服が付属しているなど、仕服は茶入の価値を高め、話題を豊富にする材料となります。
このようなことから、茶入の買取査定では、茶入そのものも重要な評価の対象ですが、付属する仕服も大切な存在となりますので、茶入買取では付属するものとして仕服の有無も、共箱などとあわせて買取査定ポイントとなります。
また、著名な宗匠などの箱書きのある茶入であれば、その作品の価値を高めることとなり、買取査定額にプラスに働き高価買取に期待がもてます。 ご売却・ご処分をお考えの茶入・仕服がございましたら、茶道具買取実績豊富ないわの美術にお任せください。