今回お買取いたしましたのは、京焼の名家 宮川香斎の安南草花紋茶碗です。
昔、ベトナムの南部は安南とよばれており、これが今回お買取した安南茶碗の由来となる地名です。安南焼は、そのベトナム安南から渡来したやきものの総称をいいます。
ベトナムでは中国陶磁器の影響で、早くから白磁・青磁が焼かれており、14世紀から15世紀あたりに染付・赤絵の製作も行われていました。日本とベトナムとの間では、室町時代末期~江戸時代前期にかけて交易があり、多くのベトナム製陶磁器白磁、青磁、染付、赤絵、無地などがもたらされたといいます。
茶碗・水指・花入・鉢として茶人に愛玩され、「絞手」とよばれる安南染付が珍重されたそうです。
今回お買取の宮川香斎の安南焼作品は、草花紋の寂の味わいの風趣が魅力の茶碗です。堂々とした高台で茶碗全体にも安定感があり、地の色と呉須の発色が詫びた風情を感じさせます。 また、見込み部分にも模様と、茶溜りにもおめでたい「福」文字があり、飲み終わった後の情景も鑑賞できるという手の込んだ造りとなっています。
買取査定では、茶碗や共箱にシミや汚れがみられたため、折角の宮川香斎の安楽茶碗でしたが、マイナス評価がついてしまいました。
宮川香斎は、江戸時代より続く京都東山の名門真葛窯 宮川香斎。いわの美術では、宮川香斎の作品の買取を強化しています。 宮川家は貞享年間に近江から京へ移った祐閑を祖とし、真葛窯を開いた長造、初代 香山などの名工を輩出してきた京都の名家です。
宮川家は家系図をみると分家などされ非常に複雑ですが、現在は六代となっており、仁清写しや乾山写し、染付、赤絵、五彩、交趾、安南写し、南蛮写しなど幅広く製作され、「ワラ灰釉」に特に力をいれています。
長い歴史ある真葛焼 宮川香斎は、「写し」という歴代名作の再現から始まる様々な作品が生み出されてきましたが、それぞれの代によって独自の作風がみられます。多様性ある宮川香斎の作風に共通することは、茶席の中に自然と溶け込む上品なものを作るという品の良さが特徴となっています。
いわの美術ではいずれの代の宮川香斎の作品も買取の対象となっています。 宮川香斎の作品買取では、何代の作品であるか、また作品の出来や保存状態、付属品など市場の需要も含めて、あらゆる観点から査定を致しております。宮川香斎は、作品により一点からでも高価買取の見込める作家の一人です。
いわの美術では、美術品や骨董品、やきもの買取実績を多数有しており、目利きある買取専門スタッフが買取査定を丁寧に行っています。ご売却をお考えの宮川香斎の作品がございましたら、是非いわの美術までご連絡ください。