写真のお品物は、以前買取致しました十五代坂倉新兵衛の萩焼茶碗です。
坂倉新兵衛は、山口県の萩焼窯元 坂倉家の当主が代々襲名している陶芸作家の名跡で、当代が今回買取の十五代となります。
萩焼の特徴のひとつに、「貫入」と呼ばれる器の表面に細かく入るひび割れ模様と、それゆえに使い込むことで表面の色味が変化していく「七化け」があります。
陶器は、素焼きや乾燥させた土の器に釉薬をかけ焼き上げますが、その際、釉薬は土よりも縮み方が大きいため、貫入とよばれるひびが入ります。
萩焼には、特徴ある土が使われるため、長年使い込むと、そこからお茶が浸透し、器全体の色が変わって表情に変化がみえてきます。
これは「萩の七化け」と呼ばれ、萩焼ならではの味わいとして、特に茶道の器などで萩焼が珍重される大きな特徴です。
今回買取の十五代坂倉新兵衛の茶碗には、まだ新しくこの「萩の七化け」はみられませんでしたが、今後さらに使い込むことにより、七化けの変化が楽しみな作品です。
茶碗の状態もよく、十五代坂倉新兵衛の陶印があり、また箱書き・落款のある共箱やリーフレットもございましたので、総じて高い評価でも買取の対応となりました。
萩焼の技術は、1957年に文化財保護法に基づく選択無形文化財(記録作成等の措置を講ずべき無形文化財)に選択された伝統工芸品です。
色は概して薄いオレンジや淡いベージュ、豪華絢爛たる絵付けはほとんどなく、特別な形もしていませんが、一見強い個性がないのが逆に萩焼の魅力ともいえます。
萩焼のふるさとは、山口県の萩で、この地は吉田松陰や高杉晋作などを生んだ長州藩、毛利家の城下町でした。
萩焼は、今から400年前関ヶ原の戦いで敗北し、領地を減らされた毛利輝元がはじめたものとされ、「戦には敗れても、焼き物では誰にも負けたくない」という意地から長州藩は、茶の湯の世界でもてはやされた朝鮮半島の焼き物を研究し、茶人たちを唸らせる独自の萩焼という焼き物を作り出したのです。
萩焼の人間国宝(重要無形文化財保持者)には、三輪休和(十代三輪休雪)、三輪壽雪(十一代三輪休雪)等がおり、萩焼作品の買取の際は、こういった人間国宝の作家の作品など高価買取の可能性が高くなります。
また、今回買取の坂倉新兵衛をはじめ、坂高麗左衛門、田原陶兵衛など萩焼の有名作家の作品も高価買取の対象となっております。
「萩の七化け」を特徴とする萩焼は、お茶を嗜まれる方からも根強い人気があり、いわの美術でも、買取を行っております。
萩焼の作品によっては、一点からでも高価買取が期待できるお品物もございますので、萩焼のご売却をお考えでしたら、茶道具買取実績多数のいわの美術までご連絡ください。