今回お買取したお品物は扇面棚です。作家は京塗師 鈴木光入の作品です。
ほとんど同じ形態の棚物に扇棚がありますが、こちらのお品は扇面棚になります。天板と地板が共に扇面形であるのは同じですが、素材などが若干異なります。
扇面棚は、溜塗の竹の三本柱で、天板と地板が共に扇面形で、天板と地板の縁に白竹の割竹が張られ、地板裏の三箇所に足の付いた小棚となっています。
扇面棚は、表千家十三世 即中斎が好んだ棚とされています。
今回買取の鈴木光入の扇面棚は、天板と地板の縁部分に傷がみられ、また作家の箱書き・落款のある共箱にもシミ等がみられましたので、その部分がマイナス評価となりましたが、お客様にご説明の上、ご納得いただいた上での買取となりました。
茶道の基本は、陰陽五行にあるとも言われています。 棚物でも五行棚という棚があるように、形や扱いにまでも陰陽五行が取り入れられています。荘りつけも、四角の棚は陰であるので、柄杓の合は上にして陽に荘りつけ、丸の棚は陽であるので、柄杓の合を下にして陰に扱うといったように、原則的に陰陽五行によるところがあるそうです。
棚物は種類が非常に多くありますが、大きくは、台子、大棚、小棚、仕付棚、箪笥に別けられるとされています。これにさらに、即中斎好など宗匠好みがあり、さらにその種類は増えます。
素材は圧倒的に桐木地が多く、杉や桑なども使用され、柱は同じ木地を使用するものと、今回買取の扇棚のように竹を使うもの等があります。本桑などが使用された棚物はなかなか手に入らず、希少価値があるとされています。
茶道を嗜まれている方で、処分にお困りになっているもののひとつとして棚物があげられます。
いわの美術では、棚物など大きな茶道具の買取も行っています。
棚物の買取では、棚物の種類や歪みや汚れなどの状態などによっても査定額に影響します。
状態の良い棚物や有名作家の作られた棚物であれば、買取の際にプラスに働きます。
棚物など、大きな茶道具のご処分にお困りなら、ぜひいわの美術までご相談ください。