今回、いわの美術がお買取りしたお品物は川瀬表完の煙草盆です。
煙草盆(たばこぼん)は、「莨盆」とも書きます。たばこが日本へ渡来したのは、南蛮貿易が盛んだった16〜17世紀にかけてといわれており、庶民に喫煙の風習が広がりはじめたのは、江戸時代です。
江戸中期以降、たばこが浸透すると共に、日本人は、煙管など喫煙具のなかに「美」を求めるようになります。ついには、茶の湯の一部となって、茶道具の中に、煙草盆が組み入れられるようになります。
このように、煙草盆は、利休の時代には茶席では使われておらず、江戸時代に入ってから好み物の煙草盆が登場し、江戸時代後期に茶事の道具として煙草盆が一般的になったとされています。
今回買取させていただきました煙草盆は、川瀬表完の作品で、桑桐透かしの小ぶりな莨盆です。金具が付いた手付きで、踊り桐の透かしが入っています。 煙草盆には目立った破損などもなく、共箱には箱書き・落款があり、経過年によるシミなどがみられましたが、他の茶道具とあわせてお買取させていただきました。
川瀬表完は、江戸末期の京塗師 木村表斎を祖とする「表派」の技法を受け継ぐ京塗師です。
初代千太郎、二代繁太郎、三代にわたり、各種茶道具、調度品などの漆芸作品を主に手掛け、二代目より「表完」の号を名乗ります。
川瀬表完は、本堅地塗・溜塗等を技法とし、棚物や棗、香合、菓子器などの茶道具漆器を主に幅広い作品を生み出しています。
川瀬表完の作品には、写真にみられるような歴代共通の「表完」という落款があります。
川瀬表完の作品の共箱にはこういった落款や箱書きがみられますので、買取査定のご依頼の際は、作品全体のほかに、共箱の写真などをいただけますと、より具体的かつスムーズに査定が進みます。
川瀬表完の作品買取なら、年間多数の茶道具買取実績を誇るいわの美術にお任せください。