こちらは以前お買取しました雲華焼の灰器です。作者は雲華焼を代表する京都の作家 寄神崇白の作品です。
寄神崇白は京都で三代続く雲華焼の陶家で、千家書付作家として、お茶席での知名度も高い風炉師です。寄神崇白の桂窯は、神社の瓦や土風炉を焼きながら、昭和15年頃、桂に窯を築いたのが始まりとされています。
寄神崇白は、窯変による雲華の景色は楽しいものを心がけ、茶の心に寄り添った用途を大切にする作品制作することで知られています。寄神崇白の作品には、漆を塗ったような艶やかな色が表現されていますが、独特の色合いは窯中で炭素を器体表裏に付着・吸収させることにより生まれるもので、寄神崇白ならではの伝統技法とされています。
今回買取させていただきました寄神崇白の灰器は一双入りで、独特の細かな土、滑らかな肌色と黒のグラデーションが印象的な作品でした。 とても調和のとれたデザインですが、一双の内、ひとつの底にはキズがみられました。もうひとつは、それに比べて綺麗な状態で、底に崇白の陶印がそれぞれ捺されています。 箱書き・落款付の共箱とともにお譲りいただきました。
灰器は、灰匙で炉や風炉の中に蒔くための灰を入れる器で、炭点前に灰を入れて、席中に持ち出す容器です。古くは「灰焙烙」と言ったそうで、風炉用と炉用の2種類があります。今は、風炉用は小振りで釉薬のかかったもの、炉用は大振りで湿り灰を入れるため釉薬のかかっていない素焼のものといった区別をされることが多いようです。
いわの美術では、灰器などの灰道具の買取を行っています。
今回買取のご依頼をいただいたお客様は、以前お茶の先生をなさっていたお母様の遺された茶道具などのお品物をお譲りいただけるということで、練習用を含め、茶道具・灰道具など多数お買取させていただきました。
いわの美術では、新品の未使用品だけでなく、既にご使用になられた中古のお茶道具の買取も行っています。練習用のお品物であっても、他の茶道具等とご一緒にお買取の対応となるケースもございますので、お気軽にお電話・メールにてお問合せください。