今回、お買取したお品物は、黒柿芝山鴛鴦文香合で、作者は芝山漆器を手掛ける漆芸家・宮崎輝生の作品です。
黒柿とは、数百年の樹齢を重ねた古木の柿の木の心材に墨で書いたように黒い文様が入る、非常に貴重な木材で、その黒柿にレリーフ状にはめ込むように螺鈿や蒔絵が施されています。
象嵌の技法に近いものなのですが、象嵌の技法を使った通常の漆器とは異なり、形取られた模様が漆面によりレリーフ状に浮き出るのが特徴です。
作者の宮崎輝生の手掛ける芝山象嵌は神奈川県横浜市で生産されている漆器なのですが、現在、芝山漆器を手掛ける漆芸家は宮崎輝生を含めて2人しかおりません。
そのため、宮崎輝生は国宝級の骨董品を手がけるかたわら、「横浜芝山漆器研究会」で、技能の伝承にも努めています。
今回は共箱付で、香合に目立った傷もなく、非常に良い状態でお譲り頂きましたので、高価買取で対応させて頂きました。
芝山漆器を手掛ける作家が少なくっている現在、芝山漆器の作品は貴重な存在で、高価買取が期待できます。
ちなみに、漆器の香合は風炉季節である5月~10月に使う道具です。
芝山漆器は、安永年間に大野木専蔵が考案した貝象嵌の技術が発祥とされており、大野木専蔵が江戸に出て芝山と改名した事で「芝山象嵌」と呼ばれるようになります。
その後、内国勧業博覧会に出品された芝山宗一の作品が高い評価を受け、芝山象嵌に携わる職人達はこれに強く影響され、芝山宗一のいた横浜に職人たちが集まっていき、芝山漆器が誕生しました。
開国してからはアメリカで開催されたアメリカ輸出博覧会で芝山製品が入賞を果たし、横浜は港町であった事からアメリカへの輸出量が増え、盛んに芝山漆器は作られていました。
そのため、日本国内だけではなく海外でも見る事が多い漆器でもあります。
芝山漆器をお持ちでしたら、ぜひ、いわの美術に買取らせて下さい!!