今回、いわの美術がお買取したお品物は、小袋棚です。
小袋棚とは、表千家十三世・即中斎(そくちゅうさい)無盡宗左(むじんそうさ)が好んだ棚で、紹鴎袋棚の天板と柱を取り去った下の部分をもとに、地袋の左を取り去り地板とし風炉も置けるようにしたもので、左側の地板の部分は取りはずせ地袋だけでも使用する事が出来る棚です。
右側は鳥の子紙貼りで摘みがついた倹飩蓋の地袋になっており、筆返しの付いた板で地袋の天と横の板上面がそれぞれ糸目になった赤っぽい色味となる溜塗となっているのが特徴です。
この小袋棚の作者は石川県出身の塗師・中村宗悦で、中村宗悦は全国の漆器展において数々の賞を受賞しており、お買取した小袋棚も、単純に漆を塗っただけでは出せない艶と美しさを兼ね備えた素晴らしい小袋棚でした。
少し傷は見られましたが、まだまだ綺麗といってもおかしくない程度で、収納用の段ボールも付いていましたので、良い評価での買取となりました。
今回お買取りした小袋棚は組み立て式ではありませんでしたが、棚物には組み立て式のものが多く、組み立てる時、解体する時などに傷をつけてしまう恐れがございますので、取扱いには十分注意して頂く事で、売却時の買取額が高くなります。
中村宗悦は、父親より髹漆(きゅうしつ)を習い、中尾宗和より本格的に茶道の指導を受け、茶名「宗恭」を拝受した塗師で、茶道准教授として本格的に炉縁、棗、盆、茶入れ、茶箱、棚などの茶道具の制作を行っております。
髹漆の伝統技法をベースとし、日本的情緒あふれる古雅で繊細な蒔絵により独自の表現を追求しており、草花、鳥、小動物を主なモチーフとし、これらは作品の多くに見る事ができます。
真塗、炉塗、高台寺蒔絵、加賀蒔絵など伝統技法も得意としており、これらの技法を用いて制作された作品も高評価を受けています。
中村宗悦の作品をお持ちではないですか?漆器は茶道具と密接に関係のあるもので、お持ちの茶道具の中に中村宗悦の作品が眠っているかもしれません。
あまり使用しないような茶道具に中村宗悦の名前がございましたら、迷わずにいわの美術まで、お電話、メールにてお問合せ下さい!!