今回、いわの美術がお買取したお品物は、飾壺です。
飾壺とは茶家の正月にあたる、11月の炉を開く季節に使用する茶壺の事で、そこの時に行われる口切の茶事の時に使用する5月に摘んだ茶葉がそのままの形で詰められています。
口切りの茶事とは茶壺の封を切るために行われるもので、茶壺の中身は中心に紙袋につめた濃茶用の茶葉を詰め、その周りに薄茶用の茶葉をぎっしりと詰め、蓋を閉めて和紙で封をし、夏の間涼しい所で保管して茶葉を熟成させます。
その半年後に茶家の元に届けられた茶壺の茶葉を客が懐石を頂いている間に臼で挽き、その挽いたばかりのお茶を点てて頂くのが昔の口切の茶事のやり方でしたが、現在では抹茶は一年中手に入れる事ができるため、本当に茶壺の口を切り、臼で茶葉を引くお茶席はほとんどなく、茶壺飾りを拝見する「茶壺飾り」のみを行うのが主流となりました。
飾壺には備前焼、高取焼などの焼き締めの陶器が使われている事が多く、今回お買取りした飾壺も備前焼の飾壺で、陶正園現当主・木村陶峰の作品でした。
今回、いわの美術がお買取した飾壺は木村陶峰の作品で、木村陶峰は備前焼作家です。
備前焼窯元六姓の木村総本家より分かれて大正2年に創設された陶正園の家に生まれ、幼い頃から茶陶が好きでしたが、大学では法学部入学していましたが、大学を中退し、父の跡を継ぎました。
陶正園のある場所は伊部の中心地で、伝統を継承しながら時代に合ったより良い茶陶を作る事を考え、素朴さと温かみ生かした創作作品は多くの人に支持されています。
弟の利正と力を合わせ、陶正園の運営にあたっており、花器、茶道具、酒器、食器など、幅広く制作を行っており、中でも茶道具と花入は種類も多く、手も込んだ作品も見られます。
昭和34年に行われたワシントン国際展にてグッドデザイン賞を受賞するなど高い評価を得ており、いわの美術でも買取を強化している作家の一人に挙げられます。
木村陶峰の作品のご売却をお考えでしたら、いわの美術が喜んでお買取り致しますので、まずはお電話、メールにてお気軽にお問合せ下さい。