茶杓(ちゃしゃく)
抹茶を茶入や薄茶器の中から掬い出し、茶碗に移すのに用いる匙。
喫茶が伝わった当初は
金・銀・砂張・鼈甲・象牙薬匙が使われていました。
わび茶の開祖とされる村田珠光は
唐物の象牙や銀等の茶杓ではなく、
竹を用いて漆を拭いた茶杓を作ったとされています。
千利休・古田織部の頃まで、
殆どの物に漆が拭いていましたが、
3代・千宗旦、小堀遠州の頃から漆を拭かずに
木地のままの茶杓が主流となりました。
茶杓は一度のみの茶会で使用される消耗品としての扱いでしたが、
千利休以降、作者への敬意から筒に入れて保管し、銘を付けることが多くなり
3代・千宗旦、小堀遠州の頃から茶杓に共筒と自筆銘を加えることが多くなりました。
寛永時代(1624~1645年)以降、共箱を使用するようになって、
『茶杓・共筒・筒書付・銘・共箱』という現代でも見られる形態をとるようになました。
本来使い切りであった茶杓も千家名物や中興名物に茶杓が取り上げられるなどして、
茶道具としての価値を高めていきました。
茶杓の主な形と由来
:蟻通し・・筋の中央に穴が空いている茶杓です。
蟻通しの由来は、中国の帝に七曲の小玉に糸を通せという難題を出された際に、蟻に糸をくくりつけて玉の穴に入れ、穴の反対側に蜜を塗ったところが、蟻は蜜を求めて七曲の穴を潜り抜け糸を通すことができたという説があります。
:芋・・先が笹の葉のような形状になっていて、柄の先に薬を粉末にする小さい球が付いている茶杓です。もとは中国で象牙の薬匙として使われていましたが、日本に伝わった際に茶杓として使われたと言います。
:木地・・朱や漆器など、木の素材で作られた茶杓です。
茶杓は主に竹製のお品物が多いですが、象牙、鼈甲、金属製のお品物も多数ございます。
:節無・・名前の通り筋がない茶杓です。
主に象牙や木地などに見られる茶杓の形となります。