建水(けんすい)
建水とは茶事の席中に茶碗をすすいだ湯水を捨ていれるための器です
点前の際は勝手付に置かれ客には見えにくいところで使われます。
古くは「みずこぼし」と呼んでいたので、
通称で「こぼし」と呼ばれることもあります。
唐銅、砂張、毛織、七宝、鋳金、真鍮などの金属や
陶磁器、竹木製で作られており、
形にも定まったものが特にありません。
ですが、昔からの形として「大脇指」「差替」
「棒の先」「槍鞘」「箪瓢」「餌畚」「鉄盥」
を建水七種類と呼びます。
建水種類や材質
・建水の素材
:金属類、陶磁器、曲物(木地)
・七種建水
:大脇差・・千利休が所持していた建水で、黄瀬戸で焼かれた一重口の筒型の形をしていて大脇差とも書きます。
千利休が大脇差を芝山宗綱へ送り、後に千利休の養子である千小庵の手元に戻ります。
その後宗旦が大脇差を利休大脇指と箱書を書き、江岑宗左の時代には紀州徳川家に献上され後に了々斎が極書を残しています。高さが4寸、口径4寸7分で大振りな建水となり、常に腰の脇を離れない事からこの名前が付いたと言われています。
:差替・・大脇差同様、利休が持っていた建水の一種で大脇差と同じような形ですが少し小ぶりなサイズとなります。
表面に捻貫状の模様が出ていて、楽焼で焼かれた一重口の筒型が特徴となります。
:棒の先・・底に丸みをおびている円筒形の建水です。物を担ぐ時に用いる担い棒の先に付けられた金具と似ている事からこの名が付きました。
:槍鞘・・寄せ口で円筒形が特徴の建水です。
槍の穂先に付ける鞘のような形をしている事からこの名前が付きました。
槍鞘建水を用いる際には、吹抜の蓋置に柄杓の柄に蓋を通して持ち歩くように使用します。
:箪瓢(たんぴょう)・・瓢箪が逆さになったように上が大きく下が小さい膨らみが特徴の建水です。瓢箪が逆さになった形から箪瓢という名前が付きました。
:餌畚(えふご)・・利休好みの七種建水の1つで、建水の代表的な形として有名です。
袋状で上部が開いた形をしていて、鷹匠の持っている餌袋に似ている事から餌畚と呼ばれるようになり、また餌籮や餌袋とも書きます。
:鉄盥(かなだらい)・・利休好みの七種建水の1つでもある鉄盥は、口が広く深さが浅くて高さが低いのが特徴となり、平建水とも呼ばれています。
:鉄鉢・・口の部分が抱え口になり、底は丸く高台がない形が特徴の建水となります。
鉄鉢という名前は、僧が食べ物などを受ける皿として使われている托鉢に形が似ていて、鉄で作られている事から鉄鉢という名前が付きました。
:面桶・・武野紹鴎が巡礼の持っていた飯入を見て水屋道具として使えると確信し、茶室に持ち込んだ物を利休が茶室で初めて使った事が始まりとされています。
薄い木地を曲げて底を付けた建水で、曲建水とも呼ばれています。