懐石道具(かいせきどうぐ)
懐石道具とは、懐石という茶を勧める前に出す料理に用いる膳や椀などの
器物・家具・酒器を総称してそういいます。
塗師の中で椀具・折敷・膳・重箱等を造るものを
「家具屋」と呼んだところから、
懐石に用いる膳や椀の塗物の類を懐石家具ともいいます。
吉野椀・上り子椀・丸椀・面桶椀・精進椀の五種の椀があり、
それぞれ飯碗、汁椀、壷皿(椀)大小、平皿(椀)の四つ椀揃いで、
面桶椀以外は二ノ椀も付き、精進椀には楪子と豆子が添います。
更に折敷では皆朱折敷・鉋目折敷き・曲折敷・
隅不切折敷が三枚組になり、
他には食盛杓子・湯盛・酒盛・通折敷が各一つ、更に重盒二重が一組、
縁高が三段一組、楪子ノ椀(菓子椀)・高杯盆の三つ一組となります。
古くは、懐石道具は塗物が主でしたが、慶長年間(1596~1615年)頃に
懐石に陶磁器が用いられるようになりますが、
古田織部がその主導的役割を担ったとされています。
当初は志野・黄瀬戸・織部の器が使われ備前・唐津・高取が続きました。
江戸期になり、染付や色絵の物が流行り懐石道具にも取り込まれていき、
更には赤絵・祥瑞・九谷・乾山などの陶磁器が用いられました。
このような懐石に用いる陶磁器類を懐石器物といいます。
懐石器物としては、小鉢類は向付(むこうづけ)・強肴(しいざかな)に、
小振りの鉢は香物鉢(こうものばち)に、中型以上の深鉢類は預鉢(あずけばち)に、
平鉢は焼物(やきもの)に、額皿は八寸(はっすん)にそれぞれ利用されました。
いずれもその茶事の時期にあった旬の物を使うのが習いとなっています。
懐石道具の主な種類
・向付、飯碗、汁椀、懐石膳、飯器、通盆、杓子、銚子、湯桶など
主な漆器作品
:鮓井漆器、塗師:真斎など
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